全日本ジュニアクラシック音楽コンクール

46th
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第28回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール審査員所感Message from judges

全日本ジュニアクラシック音楽コンクールの審査に携わって下さった先生方から、御担当いただいた予選・本選・全国大会について総評をお寄せいただきました。今後コンクールに御応募を予定していらっしゃる親御様、御本人、また生徒の参加を予定していらっしゃる先生方への貴重なメッセージとなっております。

※先生からのメッセージの一部を抜粋して掲載しています。

全国大会 太田幸子 先生 東邦音楽大学 特任教授

第28回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール全国大会ピアノ部門(大学生の部)の審査を担当させて頂きました。当コンクールは、全国より年々多くの方々に参加いただき、国内で着実に有名なコンクールになった事を、審査をさせていただいた一人として大変うれしく、又光栄に思って居ります。大学の部でもあり、将来日本の音楽界を代表する教育者、指導者、又世界に羽ばたく演奏家として、輝かしく活躍出来る方々であると思います。参加された皆様はしっかりしたテクニック、豊かな表現力で演奏されており、レベルの高さを感じました。アドバイスとして、ご自分の個性を生かした魅力的な演奏を心掛けて下さい。作曲家の世界は、音によって表現されるものですから、時代様式を踏まえたうえでの音色、色彩感が不可欠となります。ご自分の専門ばかりでなく、オーケストラ、室内楽、合唱等心を打つ音楽を支えにして、感性を開花させて下さる事を願っています。最後になりましたが、東京国際芸術協会のスタッフの皆様方のご尽力に厚く御礼申し上げます。

全国大会 村田菜都子 先生 東邦音楽大学附属東邦中学校高等学校 兼任主任教諭

中学の全国大会の審査を終えて、皆さんに共通して言える事は、それぞれが御自分の音楽を聴衆の方々に伝えようと真摯に取り組んでいらしている、という誠実さです。これはいつでもどこでも、たとえたった一人の聴衆だとしても、ピアニストが持たなければならない感情だと思います。それから何人かの方の講評には書かせて頂きましたが、中学生の頃は、どうぞ色々な時代の様々な作曲家の作品を勉強して下さい、という事です。時代によって様式は変わり、その表現方法にも工夫が必要です。それから、作曲家の生まれた国や活躍した国、影響を受けた国の特徴が表われた民族色の強い作品も、そのキャラクターの違いを伝えるためには勉強が必要ですし、たくさんの音色や表情の付け方を身につけなければなりません。楽譜は作曲家からのメッセージです。私達は、聴衆にそのメッセージを伝えるメッセンジャーですから、楽譜を正確に読み取り、あなたの音色で伝えて下さい。

高校の全国大会の審査を終えて、ベーゼンドルファーのピアノに苦戦したかな、と思った方が多くいらっしゃいました。ピアノはどうしても鳴らないと思うと力で弾いてしまいがちですが、やはり響かせるという事を忘れてはいけません。同じfでも深く重いf、キラキラ輝くようなf、怒りのf、歓喜のf、etc。pにしても深い悲しみのp、ささやく様なp、ハッとさせる様なp、一つでも多くの音色を手に入れて欲しいのです。豊かな表情は多くの音色が必要ですから。そしてpは音が弱いかもしれませんが、気分が弱い訳ではありません。意思を持ってこの音を出そう、とpを響かせなくてはいけません。ピアニストは自分の楽器を持ち運べる訳ではなく、ましてやなかなか楽器を選べる状況にはありません。瞬時にそのピアノの個性を感じ取り、自分の音色で描かなくていけない大変な使命を持っているのがピアニストかもしれませんね。何人かの方の講評に書かせて頂きましたが、それには一回一回の本番を大切になさって下さい。一回の本番は十回のレッスンに相当する位の大きい経験となります。御自分の音楽がホールに満ち溢れる喜びを感じて、どうぞ、又一段と成長したあなたの音楽を是非聴かせて下さい。楽しみにしています。

全国大会 益田みどり 先生 日本弦楽指導者協会 関東支部理事、ダイナーズカルチャー 講師

全国大会に御出演なさった皆様本当にお疲れ様でした。また受賞おめでとうございます。地方からの方もいらして御家族皆様の御尽力に頭が下がります。感謝ですね。弦楽器の全部門の審査をさせていただきましたが、年々レベルアップなさっていて驚愕です。この調子でいくと日本の弦楽器界はどこまで上り詰めるのかと、恐ろしいやら楽しみやらという思いになりました。熱演でした。日々のたゆまぬ努力の成果ですね。素晴らしい指導者の先生方、挑戦者、そして挑戦者の御家族の愛情たっぷりの共同作品を見せて頂きました。感動感動の嵐でした。有難うございました。これからも、益々の精進心より応援しております。また東京国際芸術協会様に素晴らしい企画一生懸命なさって頂きました事に御礼申し上げます。

全国大会 丸田悠太 先生 東京佼成ウインドオーケストラ、昭和音楽大学 非常勤講師

全日本ジュニアクラシック音楽コンクール全国大会に出場された皆さん、大変お疲れ様でした。今回も大変熱の入った演奏を沢山聴くことが出来ましたし、我々審査員も多くの刺激をもらい、非常に充実したコンクールであったと思います。それでは所感という事で、気になった点をこの場をお借りして書かせていただきます。今回私が気になった点としては『ブレスコントロールの甘さ』が挙げられます。特にフルートで多く気になりましたが、本来一息で吹きたいフレーズの途中で吸ってしまっている事が非常に多かったです。これはもちろん“本番”という、緊張感がいつもより高まる場での演奏なので、誰でもいつもよりブレスが浅くなってしまいがちです。しかし『自分の肺はどれくらいの容量があり、今どれくらい息が入っている』という意識を常に持つことで、かなり解消出来ると思います。そして、息が残り少なくなってきたらお腹の支えを段々強くしていき、肺の底にある空気まで残らず使い切る意識も同時に持ってもらいたいです。もう一つ、演奏中の音程が破綻している演奏が全国大会の場でかなりの数あったのが非常に残念でした。チューニングをただの“儀式”ではなく“意味のある時間”にしてほしいと思います。ピアノは平均律の楽器なので、こちらが合わせるしかありません。特にフルートの音程管理不足を感じました。ソロで吹く場合は多少高くても良いと思いますが、物には限度があります。どうか音程の事をもう少し真剣に考えてあげてください。そして、音程を考えられるくらいの“余裕”をいつも持てる演奏を心掛けて、これからも頑張っていただきたいと思います。

埼玉Ⅱ本選 上田恭子 先生 洗足学園音楽大学 講師

まず木管部門について、今回かなりレベルが上がってきたように感じました。テクニックに於いても音楽表現に関しても音のしなやかさに於いてもそのように感じました。ただレベルにあっていない曲を選曲している方もいらっしゃり、大変残念に思いました。まだおなかの支えが出来ていないのに、音を伸びやかに奏でると言う事は不可能です。基礎的な練習を重ねて音作りをして下さい。またテクニックは大変あるのに曲の解釈がしきれていない方も残念でした。リズムの認識、音楽の方向性をもう少し研究すればより良い演奏になると思いました。色々な方向からあなたの演奏する曲を勉強し、作曲家の意図する物を読み取って下さい。またピアノとのバランスの悪い方もいらっしゃいました。録音を聞いてピアニストとアンサンブルの確認して下さい。音楽の完成度が上がります。次に金管部門について。おなかの支えもあり、皆さん自分の音を使いこなし伸びやかな素晴らしい演奏をしていらっしゃいました。かなりレベルが高い演奏ばかりでした。ただフレーズの最後に音がぶら下がってしまうのが残念な方がいらっしゃいました。練習で改善して下さい。最後に皆さん、これからも歌心を持ちしなやかに奏でていって下さい。その為に、より良い音楽を聴き、その方の感性に触れ、成長していって下さい。

神奈川本選 三浦明美 先生 昭和音楽大学附属音楽教室 講師

さすが地区本選!というくらい、どなたも安心して聴かせてくださいました。全体を通して、私が少し物足りないと感じてしまうのは音量でしょうか。音楽を表現するには、音色、テンポ、などなどいろいろな要素を駆使しますが、大きなダイナミクス、つまり小さい音から大きい音までの音量差、それもとても大きな要素です。緊張した舞台で思いきった音をだすには相当の準備が必要ですが、それもまた連符を練習するのと同じくらい大切なことだと思います。美しいピアニシモは、ものすごく難しいです。とくに管楽器にとっては。まずは、自分が美しく出せるフォルテをどんどん大きくしていけますように!その武器を身につけたら、さらにお客様や審査員を納得させられると思います。いつも感心させてくれる出演者のみなさまに感謝です。よりたくさんの技術を身につけて、みなさんの中にあるたくさんの心を表現してください!期待しています。

愛知Ⅱ本選 松名深雪 先生 深雪おんがく教室 主宰

私が担当したのはピアノ部門のキッズ~大学生まで、そして声楽の中学・高校生の部でした。まずキッズと小学生の低学年では、舞台に出てくる時の意識や弾き始めの集中の仕方に、これからの成長が楽しみな子と、まずはそこから改善していかなければ…と思う方がみえました。舞台での1曲を聴くことで、きっとこの子はレッスンの時にはこうだろうな、お家での練習はこんな感じかなと想像できてしまいます。大きく成長するには毎回のレッスンで言われたことをきちんと家で練習してできるようにすること!です。そして、可愛らしい題名のついた曲が多くありましたが、作曲家が何を表現してほしいのかをたくさん想像して自分の作品を作ってください。鳥、花、夢・・・このメロディーはこんな場面だよ!とお話しを作ってください。幼い頃にたくさんの想像をして音に変えていってください。こんな積み重ねの作業が良い耳を作り、弾きやすい手を育て、音楽的な音色を持つ子に成長させます。高学年になるとさすがに自分の意思でコンクールを受けにきてみえるのだ、と思いました。選曲から曲作りにはっきりと意思が感じられる演奏がたくさんありました。同じ舞台に立つ方の素敵な演奏を聴くことは幼いピアニストさんにも良い刺激になりますので、是非ご自分の演奏以外の方のも聴いていただきたいですね。

声楽の部では中学・高校の部を聴かせていただきましたが、年齢の幅や少しの経験の差はあっても、どの方にも言えることは「なぜその曲を選んだのか?」という疑問が残りました。どの方もイタリア語の曲でしたが、発音の不明瞭さが目立ちました。発音しているつもりになっていては成長がないので、指導者のもとで自分の声がどう聴こえるのかを日々直していくことが大切です。まだまだこれからですが、今の勉強の積み重ねが自分の楽器作りに影響するものです。

長野本選 小池由美 先生 演奏家、声楽家、YUMI MUSIC STUDIO 主宰、ピティナ蓼科サラダステーション 代表

今回の長野本選では、予選でも感じたことですが、レベルが大変高くなっており驚きました。また、声楽の生徒さんから、バイオリン、ピアノまで熱演を聴かせて頂くことが出来、大変嬉しく、また希望に満ちた未来を感じました。参加人数も毎回増え続け、出来るだけ沢山の方々に全国大会に行って頂きたかったのですが、優れた演奏をされた方々の中から選ばなければならないのが残念でした。厳しい結果でもありましたが、心に響く演奏が多々あったことには変わりありません。こつこつと良い練習をこなされて、本番に挑まれているのが良く分かりました。非常に音楽的な方々が多かったのが素晴らしいことだと思いました。今後もさらなる躍進が期待できると感じました。

群馬本選 須田啓子 先生 みっきー音楽教室 教室長

先日は素晴らしい演奏をたくさん聴かせていただき本当にありがとうございました。特にスーパーキッズがたくさんいたことには大変感心致しました。音楽を習い事とする人口が少なくなっていると危機感を口にする方もいらっしゃいますが、これだけ熱心に音楽を習得しようとする意欲のある子供たちがいることを目の当たりにし、大変うれしく思いました。さて、今回の審査をさせていただいて気付いたことを申し上げます。まず小学校高学年から上の方、大変レベルが高かったと思います。教えられたことをただ再現するのではなく、自分の音楽を表現する意欲の高い方が多いと感じました。コンクールは審査の場ではありますが、試験ではありません。競技の場です。合格点を取ることで、通過はできるかもしれませんが、プラスアルファがないと1位にはなれません。今回の参加者の方々はその意識が高いと感じました。だから今回の審査はとても楽しめました。心が動きました。こう言った経験は、審査員である私たちでもそう多く経験できる機会はありません。そういった意味でも、大変有意義でした。これからもそういう意欲を忘れないで、日々の課題に取り組んでほしいと感じました。また、冒頭にも述べましたが、スーパーキッズが何人かいらっしゃいました。特に弦に多くいらっしゃったと思います。私の知り合いの高校生レベルの演奏をこんな小さい子たちがすることは大きな驚きであり喜びでした。心打つピアノの演奏では、あそこまで弾くのにどれだけ努力したのかと考えたら、立場も忘れてちょっと泣いてしまいました。こんな子たちがいるのです。日本の音楽界は明るいと思いました。最後になりますが、ご指導いただいている先生方、支えてくださっているご家族、お友達の方々へ、最大限の謝意を示させていただいて所感とさせていただきます。

埼玉Ⅳ予選 中村ゆか里 先生 桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室 非常勤講師

全体的なレベルとしては非常にレベルが高くて、審査をしていて最初から最後まであたかも聴衆の一員になったかの様な気持ちで聴けました。特に、ピアノ、ヴァイオリン部門のキッズ、小学校低学年の生徒さん達のレベルが非常に高く、とても驚きました。テクニック的な面のみならず、ステージマナー、音楽的表現に富んでいて、とても良かったです。声楽部門と弦楽器部門の両方を受けていた生徒さんもいて、このコンクールの良さも感じました。欲を言えば、木管、金管部門のレベルをもう少し頑張ってあげてあげたいです。多分、ピアノや弦楽器に比べると木管、金管楽器は楽器を始めるのも多少遅いので、年齢が若干高い生徒さんが多かった様に思いますが、音を奏でるのみならず、大人ならではの音楽的表現のエッセンスをより加えられることに次は期待です!!

埼玉Ⅲ予選、埼玉Ⅰ本選 河野里香 先生 河野音楽教室 主宰、ピアニスト

今回、予選・本選と審査させて頂きました。音楽技術レベルに関しては、準備不足の方も見受けられましたが、「また聴きたい!」という素晴らしい演奏にも出会え、真摯に打ち込まれている演奏者の姿は、会場中に感動を呼びました。では、気になった点を二つ。選曲についてです。参加者があと三年勉強すれば、演奏できるかもしれないという曲をあえてコンクールでチャンレンジするのは危険だと思いました。多分、指導者の方が生徒さんの「これを演奏したい!」という気持ちを最優先された結果だと思います。しかし その年代、その実力、そのキャリアにマッチした曲は他にもあるように思いました。演奏が進むにつれ、コンテスタントの意向を最優先させたデメリットが明らかになって参りました。指導された先生と選曲についてよく相談されることをお勧めします。2つ目です。特に小さなピアニストに何人かいらっしゃったのですが、ご父兄?が足台をセットされている間、完全に客席側にお尻を向けて、セットが終わるまでじっと立っている光景を見ました。マナーの一つとして「お客様にお尻を向けるべきではない」と覚えておいて頂くと嬉しく思います。最後になりましたが、皆様の頑張っている姿は素晴らしく、またいつか皆様のさらに磨かれた演奏を拝聴できることを期待しています。

福岡予選・本選 佐藤久美 先生 ピアノ講師

福岡予選、本選の審査をさせていただきました。今回は1日で予選に続き本選というスケジュールでした。予選に引き続き本選で、ある程度の緊張は切らさず、そして気持ちはまた本選に向けて切り替えなければならない・・・という、参加者には案外ハードなコンクールと感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか。その反面、貴重な経験にもなったことと思います。そんな中でも皆さん、気持ちを集中させて一生懸命演奏されていたので、私達もまた気持ちを集中した中で審査させていただきました。特にキッズや小学生の生徒さん達は、夜9時過ぎに終了するコンクールで大変だったかと思いますが、よく頑張られていました。それから本選での全体の印象としましては、皆さんまだまだ伸び代があることを感じさせるような演奏でしたので、全国大会までのことも踏まえて、これから細部にわたる練習、それからの仕上がりを想定して、敢えて少し抑え気味の点数にさせてもらいました。全国大会まで、今回のコンクールで感じた思い(あそこは、もっと練習すべきだった、とか、音の響きがたりなかった・・・など)や、頂いた講評も参考にしつつ、自分でもよく音を聞いて、乱暴な音になってないか、綺麗な音を出せているのか、正しい音程であるか、等など独りよがりになっていないか、先生にもよく聞いて頂いて仕上げていってください。そして、本選で感じた「伸び代」分、いえ、それ以上にも素敵な演奏ができるよう、頑張ってください。

福岡予選 加来洋子 先生 特定非営利活動法人 響ホール室内合奏団 首席ヴァイオリン奏者

この度初めて全日本ジュニアクラシック音楽コンクールの審査に携わらせていただき、コンクールの趣旨として、ある一定の限られた者だけでは無く広く多くの子ども達に門戸を開いたものであるということは、どの子にとってもとても希望の持てるものだと思いました。技術的や音楽的にまだまだ研究の余地がある中で、皆今回のために練習を積み重ね、いつも以上に集中力を持って臨んでいたので、それぞれ充実感があったと思います。参加することによって今後の課題も見えて、又他人の演奏を聴くことによってこれを機に更なる努力、練習をする励みになったと思います。幾度となく人前で弾く本番を重ねる事はとても重要なことでそこで学ぶものは多くあります。普段のレッスンや教室の中では得られない体験を通して、又同じように音楽を学んでいる仲間がいるという事も知ってこれからもずっと永く音楽と付き合っていける環境を求めて進んでいってほしいと思いました。楽器をとても上手に綺麗に演奏することも大事なことですが、コンクール自体が単にテクニックを競い合い音楽性を高めるだけに留まらず、音楽というものがこれからの人生を生きていく上でしっかりとした心を育むものであってほしいと願っています。

神奈川Ⅳ予選 青木麻美 先生 ヤマハ音楽振興会 システム講師

中学生以上の技術、音楽レベルは高かったと思います。専門的に学んでいる方もいらっしゃるだけにテクニックもありました。保守的にならずにもっと自分自身を出した演奏が聴きたい、という気もいたしました。未就学児、小学生は純粋に音楽が好き、という気持ちが伝わってきて微笑ましく思いました。ただ、テクニック的にはもう少しレベルアップ出来るはず、ということと、自分自身でその曲をどう演奏したいのかという思いを持って欲しい、という印象を持ちました。担当の先生には、選曲にもうひとひねり欲しいものもありました。コンクールの結果の大きな部分を占めるのは選曲だと思いますので、本当にその曲がテクニック的にも性格的にも、この生徒さんに合っているのか、ということを深く考えるのは講師の大切な使命だと思っております。最後になりましたが、素晴らしいコンクールの審査員という大役に参加させていただき、大変勉強になりました。このような機会を与えてくださりありがとうございました。

神奈川Ⅲ予選 田中絵里子 先生 スガナミ楽器 特別講師

今回の予選は20名の参加と大変多かったのですが、各々が集中した演奏を聴かしてくれました。コンクールということで、よく弾きこんで練習しているのが伝わりましたが、音楽をどう表現したいのか、という点があまり伝わってこない演奏が多かったようにと思います。テンポの速い曲をただ弾き飛ばしたり、難しすぎる曲に挑戦するのではなく、作曲家の意図を理解し自分なりの表現ができるような演奏を望みます。勿論コンクールですから、参加された以上はよい点数を取って受賞したい、という希望はあると思いますが、それだけが目標とならないようにして欲しいです。自分の現在の持てる力を発揮し、自分なりの音楽表現ができたその延長線上に良い点数や賞が待っていると考えると良いのではないでしょうか。また、いくら音楽性が豊かであっても、リズムや音程が不安定ではいけません。日々の地道な努力を重ね、次回は「また演奏を聴いてみたい」と思わせるような演奏を期待したいと思います。

神奈川Ⅲ予選 三浦明美 先生 昭和音楽大学附属音楽教室 講師

本日の出演者のみなさんはとても安定したテクニックをお持ちでした。技術的な心配がなく、安心して演奏を楽しめました!こまかいミスなどがあったとしても、それによって縮こまったりせず、「何か」を表現しようとしている姿はとてもすばらしいものでした。とくに最年少である中学生のみなさんには、毎回感心させられます。「私は中学生のときこんなに吹けなかったなぁ」と思うことばかりです。コンクールは全国大会までありますが、万が一全国大会まで進めなかったとしても、何度でも挑戦していただきたいな、と思います。数多くの緊張する、そして多くの準備を必要とする、コンクールというものに出れば出るほど、その経験は血となり肉となると思うからです。はじめからのスーパースターはほとんどいません。どんなにすごい演奏家も、失敗やくやしい思いをしてきています。それを乗り越えようとすることが、上達するということなのでしょうね。みなさん、とてもすてきな音楽性があって、楽しみな方ばかりです。ですので、注意点をひとつ。ひざが出てしまうほど短いスカートは、ステージ上では不向きかと思います。通常クラシックの演奏でドレスを着るのは、それがお客様にたいする誠意、礼儀なのです。ですので、女性の方はご注意ください!この次もまた楽しみにしています!

静岡予選 谷口紋子 先生 クラリネット奏者

演奏を聴いていてみなさん技術力は大変高く、本当によく演奏されていると感心しておりました。審査させていただき嬉しかったのは、どうしても若いうちは目の前の楽譜を正しく演奏することについ集中してしまいがちですが、この曲を自分がどう感じどう表現したいのかという一番聞きたい部分を伝えてくれた子がいた事が大変嬉しかったです。必死に練習したり、指導者の教えを守ることも大切です。ですが、奏者自身がもっと目の前の曲の良さを理解し、どういう風に演奏したいのかということにぜひ向き合っていただければと思います。ぜひ、たくさんの良いものを五感で感じ感性を磨いてください。

長野Ⅱ予選 早川育 先生 MMR音楽事務所 代表、NNMS 講師、フルート奏者

皆さんの熱演に感動いたしました。特に小さなお子さんの中には、しっかりとしたステージマナーを身に着けていらっしゃる方もいらして感動いたしました。ご本人の努力、そしてご家族や先生方のお力添えの賜物と、心に響くものを多くいただいたひとときでした。ただ、選曲に無理があったと感じた方もいらっしゃいました。技術だけではなく、演奏者が時代背景や音楽性も理解できるような指導も必要なのではないでしょうか。音楽を愛する子供たちが増えてくれることを願いながら聴かせていただきました。

東京Ⅲ予選 松永理恵子 先生 聖徳大学 講師

3月1日のピアノ部門予選を審査させていただきました。舞台のピアノは同じでも出場者のみなさん一人ひとりの音色や音楽には必ず個性があり、それぞれに魅力を感じました。小学生の出場者の中には世界中の悲しみを背負ったかのような素晴らしい短調を聴かせてくれた方もあり、コンクールという枠を越えて魂をゆさぶられる音楽に出会えたことは何よりの喜びです。出場者のみなさんにとって、コンクールという特別な舞台が刺激となり新たな音楽を切り拓くことができた貴重な瞬間になったことでしょう。さて、みなさんは普段どのような音楽を聴いていますか。演奏会に行くことはありますか。例えば腕のいい料理人が敏感な舌を持つように、音楽家には敏感な耳が必要です。ピアノにとどまらず、弦楽器や管楽器、声楽やオーケストラなどさまざまな音楽に興味を持って、広くふれてください。そこで純粋に感動したり何かを心に刻んだ経験がこれからの演奏の新たな道標となり、さらには人生を豊かにしてくれる糧になるのだと思います。最後に、今回のコンクールで目標としていた演奏ができなかった方、結果が出せなかった方もいるでしょう。しかし、長いピアノ人生において今日という日は通過点でしかありません。打たれ強く、粘り強く成長していってほしいと心からエールを送りたいです。またいつかみなさんの演奏を聴ける日を楽しみにしています。

東京Ⅰ予選 武蔵里佳 先生 小林音楽教室 ヴァイオリン講師

弦楽器部門の予選を審査させていただきました。全体的に技術レベルがとても高く驚きましたが、技術だけでなく、音楽をどう表現したいのか、演奏する意思が伝わってくるかどうかも大切かと思います。音楽的表現には、曲の解釈、音色、うたい方など様々な要素があると思いますが、最終的にそれらを音にするのは自分自身です。先生に言われたから、だけでなく、自分がこう弾きたい、聴かせたい、という気持ちが伝わる演奏を目指してもらいたいと感じました。

新潟予選・新潟本選 湊元なつみ 先生 ピアニスト

参加してくれた皆さんが、弾く直前まで何度も録音を聴いていたり、楽譜を見ながら指を動かしている姿や、ステージ上での息づかいを見て、発表会とはまた違う姿勢で取り組んでいるという、良い意味での緊張感が伝わってくるコンクールとなりました。私自身、本番というのはおおよそ練習50回分の効果があると思っています。人前で弾くことで必ず一段ステップアップできるはずなので、皆さんにはこれからもぜひこのようなコンクールの場を活用していただきたいと思っております。技術面に関しては、普段と違う環境で演奏するということを常に練習の段階で想像して練習すると更に良くなると思います。そしてこのコンクールでは自由に他の参加者の演奏を聴くことができるので、自分以外の人の演奏を聴くことで刺激になり、自分の演奏も客観的に捉えられることができるのが良いところです。また、この時期の子供向けのコンクールはなかなかないので、時期的にもちょうど良く、貴重な経験の場になっていることと思います。

長野Ⅰ予選 小池由美 先生 演奏家、声楽家、YUMI MUSIC STUDIO 主宰、ピティナ蓼科サラダステーション 代表

今回の長野予選の出場者の皆さんは皆テクニックもありそれに加え、とても音楽的な方々が多くいらっしゃって感心致しました。また、とても丁寧な演奏をされる方が多く、驚きました。前に門下生で障害を抱えていらっしゃる生徒さんが出場して見事に予選を通過されましたが、その方も見に来て「またこのコンクールに出たい!」と、決心を新たにして帰って行かれました。素晴らしいことです。参加者がもっと増えればもっと幸せの輪も広がるのではないかと思います。

埼玉Ⅱ予選 池本理湖 先生 池本音楽教室 主宰

どの方も緊張と不安を抱えながら、真摯にまた懸命にご自分の演奏をなさろうとされていたことは、わたくし達審査員にもしっかりと伝わってきました。他の先生方もお感じになっていらっしゃるようですが、「選曲の難しさ」には本当に頭を悩ませるところです。特に全国大会になると低年齢でもかなりの大曲を演奏されることもしばしば。そのこと自体を悪いとは思いません。技術もあり、また分析や理解をしっかりした上での演奏なら素晴らしい挑戦だと思うのです。ただ、審査員の先生方に違和感を与えてしまうことが多いということは、技術とその楽曲に対する深い理解度がアンバランスだからではないでしょうか。運指練習をする、それと同じくらいの時間をかけて深く音楽を勉強する努力が聴く人の心に届く演奏の必須条件だと改めて痛感する予選でした。コンクールに挑戦する皆さん。苦しいことも多く、報われない結果に涙することもあることでしょう。どうか絶え間ない向上心と揺るぎない信念をもって頑張ってください。わたくし達審査員も、一つの音残さずしっかりと受け止めていきます。次のステージでまた演奏を聞かせていただけるのを楽しみにしております。

福井予選 寺尾敏幸 先生 仁愛女子短期大学 名誉教授

応募者が増えたことが嬉しかったです。自分自身を知って高める好機ですので結果を気にすることなくこれからも参加されますように。その時点での自分の全てを出すことによってまた喜びが待っています。実年齢から想像される以上の演奏をされていました。特に低学年の方は隅々まで気を配り自分の言葉として音楽表現をされていました。かなり多くの音楽表現上の問題が解決され実践されていましたことは素晴らしいことだと思います。審査を終えて爽快な感じが残って嬉しかったです。次の段階へ自信を持って進まれますように。
ピアノ部門の次へのステップとしての心得。①伴奏音形の変化に従って旋律に含まれる情趣が変化できるともっと生きてくるでしょう。②ペダルの繊細な用い方を研究し、休止符も音楽表現のうちに入れる。和音は固まってしまうので一度各指にばらしてまとめなおすと美しいバランスを得るでしょう。③楽譜をよく読んで正しくとよく言われますが、物事をよく知るほど中身が変化してゆくので常に未知なる世界があり変化してゆくと思うこと。たとえばsfとか>の記号やnon legato等の発想用語や各種装飾音は曲中の場所により作曲家により時代により一様ではなく様々の表情を持っています。④フーガは音楽力を高めるのに大変良く、よく選曲され、よく演奏されたと思います。全体構成を研究し感動的に終われるよう演奏を構築されるといいでしょう。

以上は現在の良い演奏に加えて「欲を言えば」のことで上級を目指すためには必要なことです。一生かかって音楽があなた方の心を支えるものとなりますよう祈っています。

岐阜予選 加藤菜津子 先生 加藤菜津子ヴァイオリン教室 主宰

今回は、全体的にステージマナーの向上が感じられました。特に、男の子で、スニーカーをはいている方がいらっしゃることがありますが、今回は、ずいぶん減りました。予選だからこそなのですが、練習不足が目立ってしまう方もあり残念なことです。せっかくのコンクールですから、悔いなく練習してからステージにあがりたいものです。特にピアノ部門においては、ブレスをないがしろにしている方がいらっしゃることが、毎回気になっていましたが、今回もです。または、ブレスをしてもまったくブレスと違う音楽が流れ始めるとびっくりします。ブレスをしたあとに、歌で歌ってみるとどんなブレスがふさわしいかおわかりになると思います。ブレスだけでなく、楽器の方はもっともっと自分の声でうたってみることを、強くお奨めします。

広島予選 大坪加奈 先生 エリザベト音楽大学 非常勤講師

今回の予選では、ピアノ・ヴァイオリン・管楽器の参加者の皆様の演奏を聴かせていただきました。毎回思うことですが、はじめて演奏する会場において、自分の響きを聴いてコントロールしながら演奏することは本当に大変なことであると思います。特にピアノは自分の楽器ではないものを初めて弾くことになりますので、日頃の練習の成果を発揮できるようになるには、かなりの経験が必要になるのではないかと思います。(自分の経験から申し上げますと、一度も弾いたことがない楽器をいきなり本番で弾いて下さいと言われたら、真っ青になると思います。)そのようなことを考えながら聴かせていただきましたが、参加された皆様が大したアクシデントもなくスムーズに演奏を終えられていること、中にはしっかりご自分の主張もしながらお弾きになった方もいらっしゃったことに感心いたしました。たとえ今回思うような演奏ができなかったとしても、今回の経験は必ず次に生かされると思います。勉強中の若い方達には、失敗を恐れずどんどんこのような場を経験していただきたいと思います。また、聴かせていただく方も暖かい「耳」で、音楽家を育てるような気持ちで聴くことも大切であると感じた一日でした。

広島予選 川本真利江 先生 ヤマハPMS 講師、指導スタッフ、フルートコンコード広島 団員

技術的にも、表現的にも、真摯に丁寧に取り組んでいらっしゃる先生と生徒さんのレッスン風景が浮かんでくるようでした。各々の楽器で、音一つ一つの粒を揃えるとか、フレーズの流れとか、こちらも楽曲のイメージが膨らみました。有り難うございました。少し付け加えさせて頂くとすれば、強弱のレンジがもっと広がるといいなということと、ピアノのペダルの使い方をいろいろ工夫されたらもっと美しくなるのではという点です。

広島予選 上野眞樹 先生 元ドイツ・ヒルデスハイム歌劇場、ホーファー・シンフォニカー、フィルハーモニア・フンガリカ、広島交響楽団 各コンサートマスター

2015年1月10日  コンクール広島予選の審査をさせていただきました。毎回感じることですが、今回も皆さんの技術的レベルの高さに驚きました。特に今回はみなさん揃って一定レベル以上の技術をお持ちで、大きなバラツキがなかったのに感心いたしました。しかし音楽的レベルとなると大きな個人差を感じました。今回に限って申しますと、ピアノの方達は総じて音楽的にも自発的でご自分の音楽を作ろうとなさっている姿勢感じることができました。ヴァイオリンの方達は総じて先生の言われたことを忠実になぞっているような感じで、自発的な自由さをあまり感じることができませんでした。音楽的と一言で言ってもその内容は様々でしょうが、時代や様式の知識と理解、音色の選択、弦楽器や管楽器は音程の選択と、その範囲はかぎりなく広く深いものでしょうから、みなさんもその方にしかできない音楽表現を目指して、一歩一歩前進していただきたいと思います。今日はありがとうございました。

愛知予選 松名深雪 先生 深雪おんがく教室 主宰

私が担当したのはキッズから大学生までのピアノと、中学・高校の声楽でした。まず、ピアノでは小さい時期から大きすぎる曲を選ぶことは上達のためには危険が伴うと思いました。身の丈にあった選曲の時点からコンクールは始まっていると考えます。憧れの曲と今の自分がやらないといけない曲とは別のものですから。私自身も指導の立場から今この子に表現しきれる曲はどの範囲かをよく考えていかなくては痛感いたしました。そして、小さい頃にこそピアノは打楽器とは違って歌うことのできる楽器だと教えていきたいものです。綺麗な旋律があるのに、指をパタパタ動かすことに楽しさを覚えてはいつまでたってもピアノでは歌えませんから。本日の予選では低学年には難曲とされる曲にチャレンジされ、自分を表現できずに演奏を終える方がみえ残念に思いました。どうか無理をせずに自分のできる曲で思いっきり自分を表現してください。

次に声楽を習い始めの方々の審査では、声がまだ出来上がってないことは勿論なので、現在の発声がこのままの勉強でよいのか、間違った方向ではないのかという将来性も考えた審査となりました。そして歌を表現するための音程と発音が大事な審査基準でした。反対にこの2つのことが習い始めにできるようになれば、正しく声楽のスタートラインに立ったと言えるかもしれません。本日の演奏では全員がイタリア語の歌曲でしたがイタリア語として聴こえるためには、まだまだこれから・・・といった感想でした。声楽は自分が歌っている時は内耳で聞いているので、本当の声は聴こえません。そして演奏している喉でさえ、見ることができませんので、自分だけで勉強するのは難しすぎる楽器です。よい指導者のもとでコツコツと自分の声と耳を磨いていくことが大切だと思いました。

栃木予選 泊美紗子 先生 泊美紗子ピアノ研究所 主宰

2015年初めての予選。栃木大会での審査は2度目だったが、今回は前回の倍以上を上回る人数の出演者で、頼もしい限りだった。特に、前回と比較をすると、ピアノの受験生が多く、また本選会場の希望も茨城、群馬、埼玉、東京と関東一円に広がっていることも今回ならではの特徴ではないかと思う。そのせいか、ピアノのレベルは前回よりずっと上がっているように感じられた。まず、基本的なテクニック。小学校低学年の方までは、まだ手の骨格が未熟な為、どうしても様々な癖が身に付きやすい。手首が下がってしまったり、旋律の右手より左手のほうが大きくなってしまったり、拍子を数えながら弾くことが難しかったり…しかし、今回はその基礎的な部分もしっかりと身に着けられ、身体と手が自然に1つの流れとなって鍵盤に向かうことのできている小学生が何人も見受けられたことは大変嬉しい。やはり、表現するためには、その為の道具=絵具であったり、色鉛筆であったり、その種類を増やして、色彩感豊かな演奏にしていかなければならない。

ピアノ以外の楽器、管楽器、声楽の方もそれぞれに、堂々とした素晴らしい演奏を聴かせていただいたが、あともう1つ加えるとしたら…レッスンで教えられた事から更に発展させて「自分の音楽」としてのびのびと演奏できたら、もっと素敵な舞台になるのではないか…これから、本選、全国大会へと進まれる中で、最後には自分の音楽が表現できるかどうか、どれだけ音楽が好きなのかを表現できた方が輝くのではないかと思った。1人でも多くの方が、これから長く続く音楽の道を、まっすぐに突き進んでいけるようにエールを送りたい。

埼玉Ⅰ予選 内海良三 先生 東京クラリネットフィルハーモニー奏者、東京成徳大学高等学校 非常勤講師

ピアノ部門の参加者をたくさん聴かせていただきましたが、気になる点として、小さい方々は一生懸命に鍵盤を叩き、年齢が上がっていくにつれて速い速度での挑戦的な演奏が多かったように思いました。どのコンクールにもありがちな傾向ですが、運指の技術向上にばかり追われているような印象を、このコンクールでも感じました。教える側の責任もあるかとは思いますが、生徒が今現在持っている技術で演奏の質を向上させていくことが大切だと思っています。たとえば速いテンポの曲だったとしても生徒の技術に合わせた仕上げ方はあると思います。多少遅いテンポでも音楽の流れが適切に表現されていれば聴く側には音楽として伝わって来ます。また、気になったこととして、もっと耳を使った音楽作りをして欲しいということです。ピアノの場合は同じ楽器を使用して演奏しますので、演奏者自身が聴いている演奏とそうでない演奏がはっきり分かってしまいます。

ヴァイオリン部門は4名の参加でしたが、音作りが課題になるかと感じました。弦楽器は弓の使い方が目に見えるので、例えば先生が弾いたボーイングを真似てみれば、ある程度の音楽を作ることは可能だと思います。しかし、イントネーションのことや曲の構成の中で、どのような音で弾けば適切な表現が出来るのかということは、演奏者自身が感じ取っていかなければならないことだと思います。自分の演奏を客観的に聴くことは難しい課題ですが、是非取り組んでいっていただきたいと思います。

埼玉Ⅰ予選 山上有紀子 先生 ピアニスト、イプシロンムジーク 代表

まず、技術的なレヴェルについてですが、多少のばらつきはありましたが、ピアノ、ヴァイオリン共に、一般的な水準以上のレヴェルがあったと思います。音楽的には、やはり本人というより指導されている先生方の影響が大きいように思います。とても音楽的に歌えている方と、ただただ弾きまくってしまう方に分かれていたように思います。どの参加者も、とても一生懸命に練習し、誠実に音楽と向かい合っていることがわかり、とてもその辺は頼もしく思いましたし全体的に、審査も楽しく聴いていられました。今後のレッスンについてですが、やはり自分の出す音によく耳を傾けて、美しい音、音楽的な音色を考えながら練習してほしいということでしょうか。テンポの速さや技術的な正確さは大切ですが、まず音楽ありき、だと思います。自分の出す音が美しく楽しいものであるように自分の心に響き、聴いてくれる人々の胸に響く音であるようにそれをいつも考えながら、練習なさることを、全員に伝えたいと思います。