エコール・ノルマル音楽院留学記(奥田ななみさんより)

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今週末7月15日(土)に日暮里サニーホール・コンサートサロンでリサイタルを開催される奥田ななみさんは、現在パリのエコール・ノルマル音楽院にご留学中ですが、その合間に日本でリサイタルを開催して下さるので、せっかくの機会ですから留学のご様子を伺ってみました。こちらをご覧いただき、リサイタルまで楽しみにお過ごしください。
 
 
 
 はじめまして。奥田ななみです。この度は、今後留学を考えている方や、パリに興味をお持ちの方のお役に少しでも立てればと思い、留学記を書かせていただくことになりました。
 
 まだ1年目で分からないこともたくさんあるのですが、留学のきっかけや、学校の特色について私なりに書きたいと思います。

 

 私のフランスへの留学のきっかけは、たまたまでした。大学1年生のとき、夏休みに海外のマスタークラスを受けていた友人が多くいたので、羨ましく思い、春に行われるマスタークラスを探してネットサーフィンをしていたところ、たまたま、現在、お世話になっているジャン=マルク・ルイサダ先生のマスタークラスを見つけて参加したことがきっかけでした。
 
 そのマスタークラスで、先生のことがとても好きになったので、その後何度か来日されたときにコンサート等に顔を出していたところ、京都フランス音楽アカデミーに誘って頂いたので参加をしました。そうしたら、運よくパリ・エコール・ノルマル音楽院の1年間の奨学金を頂くことができたので、これは行くしかないと思い、留学することになりました。
 

 エコール・ノルマル音楽院は、パリにある私立の音楽院で、子供から大人まで幅広い年代の人々が音楽を学んでいます。システムとしては、入学時にオーディションのようなものがあり、そこで個々に合ったレベルや授業を与えてもらい、学年末の試験に向けてレッスンを重ねていくというものです。基本的にはレッスンが主なので、他の学校と掛け持ちしている人もたくさんいました。
 
 パリでの生活は、私にとってはとても楽しいものでした。同じクラスにたくさん日本人がいたので、新しい友達ができたし、室内楽ではなんと中国人とデンマーク人の人とトリオを組んでいたので、初めて外国の友達もできました。それ以外でも、学校のレッスンは積極的に聴講するのが推奨されているので、自分のレッスンでもだいたい誰かが聞いているし、私もいろいろな人のレッスンを聴講していました。そこでまた新しく友達もできました。
 

 語学に関しては、この学校には規定がないので、フランス語をうまく話せなくても何とかしようとする力や音楽の力があるので、事務的なこと以外では特に不便さを感じることはありませんでした。音楽が言語になるというのを肌で感じたように思います。
 

 パリには美味しいものがたくさんあるし、それと同時に東京に匹敵するくらい新しいものもあるので、不満なことはほとんどありませんでした。思っていたより優しい人もたくさんいるし、自由でのんびりな雰囲気が私は大好きです。
 

 また、室内楽でお世話になったシャンタル・ドュ・ビュッシー先生は、クラスの生徒を積極的に学外のコンサートに推薦をしてくださるので、そのおかけで私は教会でコンサートをさせていただく機会に恵まれ、素敵な体験をすることができて幸せでした。
 
 フランスの聴衆のみなさんは、とてもダイレクトに思ったままの感情を出すように思うので、コンサートでもよければたくさん拍手を頂けるし、逆なら逆です。なので、コンサートはいつもどきどきでしたが、そんな体験もできてよかったと思います。
 
 個人的には、今まで持ったことがないレパートリーの曲をやったことに驚いていますし、何より、何かが変わった気がするので、環境を替えて改めて自分を見直すというのは、とても大事なことのように思いました。

 また、そのようなことを気づかせてもらったのは、本当に回りの人々の支えがあったからこそなので、先生をはじめ、いろいろな方に感謝しています。それを形にするのは、ピアノを弾くしかないなと思ったので、今回、リサイタルという形でお披露目できることがとても嬉しいです。
 
 来年度もパリで勉強できることになったので、またコンサートをできるように、精進します。
 

 

2017年7月12日

奥田ななみ

 
 
(掲載しました写真は全て奥田ななみさんからご提供いただきました)
1枚目:風景
2枚目:エコール・ノルマル音楽院
3枚目:パリのスターバックス
4枚目:ステーキ
5枚目:パリでの寿司
6枚目:パリのショパンフェスティバルでの私
7枚目:夜のディズニーランド・パリ
 
 
 

奥田ななみ:ピアノ
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学在学中に、京都フランス音楽アカデミーにてスカラシップ(奨学金)を受賞し、パリ・エコールノルマル音楽院に留学中。現代音楽演奏コンクール「競楽Ⅶ」にて最年少で入選、聴衆賞。第23回彩の国埼玉ピアノコンクールE部門金賞、埼玉新聞社賞。第35回ピティナ・ピアノコンペティションG級全国大会入選等、入賞多数。『現代の音楽展2007』<現代ピアノ・ワークショップ・コンサート>にて藤原嘉文作曲「『移りゆく風景』ピアノのための」を初演。埼玉ピアノ新人演奏会、34e Festival Chopin à Paris等に出演。これまでに、ピアノを中井正子、ソルフェージュと和声を小鍛冶邦孝、湯本芳子の各氏に、現在、有森博、ジャン=マルク・ルイサダの各氏に師事。
 
 
 

 

2017年7月15日(土)奥田ななみピアノリサイタル

 
場所  東京・日暮里サニーホールコンサートサロン
時間  15:30開演(15:00開場)
料金  全席自由 2,500円
プログラム
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
ドビュッシー:映像 第2集
ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調 作品24
 
 
 

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