【インタビュー】2019年3月16日(土)ソプラノとピアノが紡ぐサルスエラとハムレット
2019年3月16日(土)に東京・日暮里サニーホールコンサートサロンでソプラノとピアノが紡ぐサルスエラとハムレットを開催いたします。リサイタルに向けて藤田真有さん、田邉安紀恵さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。
・今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。
藤田真有さん:
2017年12月、2018年1月に引き続き、日暮里サニーホールコンサートサロンで演奏させていただく機会です。2018年経験してきたことを、新しいレパートリーに乗せて皆様にお伝えできればと思います。1時間の中にどれだけのメッセージを詰め込むことができるか、自分もお客様も楽しんでいただける音楽づくりをするかは永遠のテーマです。今現在私にできることのベストをお見せしお聞かせすることができるよう頑張ります。
田邉安紀恵さん:
このような素敵なコンサートホールでの演奏の機会を頂けたこと、本当にありがとうございます。
藤田さんとの初めて出会った去年の6月から、何度か一緒にコンサートをさせて頂く機会に恵まれましたが、今回のリサイタルで私たちだから出来る音楽、情景を皆様にお届けできるよう、精一杯二人で準備をして参りたいと思います。
・演奏される曲の聴き所などを教えてください。
藤田真有さん:
テーマをサルスエラとハムレットと題しました。サルスエラはスペインで言うところのオペレッタのような舞台音楽劇で、かのドミンゴもスペインでサルスエラ歌手としてデビューしました。日本ではあまり演奏されることのないジャンルですので、少しずつ皆様に知っていただこうと言う気持ちも込めて、事あるごとに取り上げています。私がサルスエラを歌い出したのは、過去に夏のマスタークラスでプエルトリコ人のエヴァンへリーナ・コロン氏から「あなたはサルスエラを歌った方がいいわ!」とおっしゃっていただいてからです。歌っているとどんどん楽しくなり、遊んでしまいたくなるぐらい素敵な音楽です。
ハムレットは、言わずと知れたシェイクスピアの文学です。様々な作曲家がインスパイアされ曲をつけています。今まで興味がありながら挑戦できずにいたのですが、ピアニストの田邉さんのアドヴァイスもあり、今回初めてシェイクスピアを掘り下げることにしました。同じ題材なのに、こうも違う世界観。全く違ったオフェーリア像を、素直に実直に歌い継ぎます。
田邉安紀恵さん:
今回のリサイタルの聴きどころは、前半と後半で全くキャラクターの異なる作品を取り上げている所です。
まず、前半に情熱的なスペイン音楽(サルスエラ)をソプラノソロで2曲、締めくくりとしてピアノソロでフランツ・リスト作曲の「スペイン狂詩曲」を演奏します。
リストは超絶技巧の名手として有名ですが、このスペイン狂詩曲も超絶技巧が散りばめられた15分弱の大作です。リストがスペインに演奏旅行に行った際に受けた印象をもとに作曲され、「フォリア」と「ホタ」という、スペインの民族舞曲の旋律を取り入れられています。
高校生の時に初挑戦した思い出深い作品で、いつかまたどこかで演奏したいと密かに思い続けていたので、今回演奏する機会を得ることができとても嬉しいです。
後半はどっぷりと「ハムレット」に焦点を当ててます。3人の作曲家によって、オフェーリアが愛する人を殺して狂乱していく様が、それぞれの表現で描かれている作品を聴き比べて頂きます。
これは、演奏者自身にとっても聴き手にとっても精神的になかなか精神的に重くなりそうですが、作曲家によって同じ情景でもこんなに音楽が変わるのだ、というところを純粋に楽しんでいただけたらと思います。
・あなたにとって音楽とは何ですか。
藤田真有さん:
自分はどういうものであるかを表現するところです。私が音楽を始めたのは中学校に入ってから、吹奏楽部でサックスを始めたことと、宝塚歌劇にハマったことがきっかけですが、それ以来将来は舞台に立つ人になるのだと、それ以外の道は考えなかったです。長い年月の中で、歌への情熱がわからなくなったり、思うようにオーディションで成果が出ず落ち込んだりすることが多くて素直に音楽を楽しめない時期もありましたが、「好きな音楽を好きな時にやればいい」と思ってからは心から自由に歌えるようになりました。
舞台で歌を披露するに至るまではコツコツと練習の日々ですが、その練習の過程で様々な発見があり、自分と向き合いアップデートすることができます。そうすると、少し成長した姿で人前に立つことができ、自信を持つことができます。音楽から離れてしまえば、どうやって自分を表現できるでしょうか。それが考えられないほど、私の生活は音楽と共にあります。
田邉安紀恵さん:
私にとって音楽は…まさに人生そのものです。
物心ついた頃には両親の影響でピアノを触っていて、毎日ピアノの練習をするのが当たり前、ピアノが完全に生活の一部でした。そんな生活に疑問を持ち、中学2年生の時にレッスンに通うのを完全にやめてしまいましたが、「音楽が好き」という気持ちは変わらず毎日ピアノを家で弾いており、中学2年生の冬には先生を変えてレッスンに再び通い始めました。
そして、音楽高校、音楽大学に進学しますが、大学3年生の時に「ピアノソロをずっとこのまま専門に進みたいのか」という疑問を持ちました。
高校生の頃から、別の楽器の人と演奏することが好きで、「アンサンブルピアニスト」として専門的に活動しているピアニストが大勢いらっしゃることを知り、その時、私の音楽活動での進みたい道筋がはっきりと自分の中で定まったような気がします。
歌や楽器の方と共演して一緒に音楽を作っていくというのは、難しさも勿論ありますが、楽しくやり甲斐があります。
音楽にはゴールはありません。日々勉強の積み重ねです。共演者の魅力が最大限に発揮できるようなピアニストになれるよう精進して、一生ピアノを弾き続けていきたいです。
演奏会詳細
2019年3月16日(土)ソプラノとピアノが紡ぐサルスエラとハムレット
時間:13:30開演(13:00開場)
料金: 全席自由 2,500円
出演:
沖縄県立芸術大学を経て鹿児島国際大学専攻科声楽コース卒業。渡欧しドイツ、オーストリア、イタリアを中心に研鑽を積む。オーストリア国立グラーツ芸術大学大学院修士課程声楽科を優秀な成績で修了。ヨーロッパにてマスターコースを始めとして数多くの音楽家に指導を受ける。東京国際芸術協会新人演奏会新人演奏会奨励賞、万里の長城杯国際音楽コンクール声楽部門第一位受賞。コンサート歌手として、意欲的なプログラムに挑むリサイタルを数々手がけている。藤原歌劇団・日本オペラ協会正団会員。アルテリーベ東京演奏家。
田邉 安紀恵 Akie Tanabe, ピアノ
京都市立京都堀川音楽高校ピアノ専攻、愛知県立芸術大学音楽学部音楽学科器楽専修ピアノコース、国立音楽大学大学院修士課程音楽研究科伴奏コース修了。日本音楽コンクール全国大会入選、万里の長城杯国際音楽コンクール優秀伴奏者賞、第2回k室内楽コンクール第2位受賞。第3回プレゾラーナ国際夏期音楽講習会にて、ソプラノ岡崎智恵子氏のマスタークラス公式伴奏を務める。これまでに芝崎美恵、田辺緑、佐藤俊、ラルフ・ナットケンパー、安井耕一、三木香代各氏に師事。ラフィ・ペザリアン、マウリツィオ・カルネッリ、若林顯、ノーマン・シェトラー、の特別レッスン受講。高槻音楽家協会会員。
プログラム:
バルビエリ:パロマの歌 (ラバピエスの理髪師)
チャピ:私に愛される人を思うとき (ゼベダイの娘)
リスト:スペイン狂詩曲 [ピアノソロ]
ベルリオーズ:オフェーリアの死
シュトラウス:オフェーリアの3つの歌曲
トマ:オフェーリアの狂乱の場 (ハムレット)
チケットはまだお求めいただくことが可能です。コチラからご注文下さい。
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