【インタビュー】2021年4月3日(日)神谷玲子 ピアノ リサイタル 第9回~早春の躍動ときらめき~(振替公演)
2021年4月3日(日)に東京・日暮里サニーホールコンサートサロンで神谷玲子 ピアノ リサイタル 第9回~早春の躍動ときらめき~(振替公演)を開催いたします。リサイタルに向けて神谷玲子さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。
インタビュー
今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。
昨年に予定されておりました「第9回ピアノリサイタル」が、思いもよらずコロナにより、やむなく中止となってしまいました。心待ちにして下さっていました皆様には、心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。私も、昨年は悔しい思いを致しましたので、1年経過しました今年こそと意気込んでおります。
2011年5月に第1回目のリサイタルを開催させて頂いて以来、これまで毎年多くの方に、会場へ足をお運び頂きました。その間、時に、お褒めの言葉を頂戴したり、あるいは、もう少しこのような方が良かったのではないかと、ご助言を頂いたりしました。そのような多くの温かな方々に支えられて、やっと9回まで辿り着いた次第です。
毎回のようにご来場下さっている方もあり、大変嬉しく感謝しております。年1回、このコンサートがあることで、お仲間同士楽しいひと時を共有して下さっているとのお話もお聞きました。大変有り難いことです。
数年前、会場内でアンケートをさせて頂いたこともありました。その結果を参考に翌年以降、曲目選びをさせて頂いております。思い出すと、いろいろなことがありました。この思い出は私にとってとても宝となっています。今までご来場頂いた方の事を心にとめて、心から演奏していきたいと思っています。今後、コロナ感染者が少しでも減少しコンサートや、楽しい会食が再び制約なくできるようになりますように心から望んでおります。
演奏する曲の聴き所などを教えてください。
昨年は、ベートーヴェンの生誕250年でした。コロナ騒ぎが起きなければ、きっと数多くのコンサート会場で、素晴らしいベートーヴェンの作品を聴けたことでしょう。それを思うととても残念です。さて、前回のリサイタルでは、ベートーヴェンのピアノソナタ「熱情」を演奏させて頂きました。そして今年は、「ワルトシュタイン」に挑戦したいと考えています。彼がこの作品を書いた頃、エラール社から最新のピアノを献呈されたそうです。この新しい楽器は音域も広がり強弱も幅が出て、打鍵反応もよくなったようで、ベートーヴェンは新しい作曲上の試みを始めました。前回私が演奏させて頂いた「熱情」などと共にベートーヴェン中期の大作となっており、堂々として、輝かしい作品となっています。特に華麗さや躍動感をお楽しみ頂きたいと思います。
その他の曲目ですが、今回再びショパンの「英雄ポロネーズ」をプログラムに入れさせて頂きました。以前にもこの曲は、コンサートで演奏させて頂いておりますが、数年前行ったアンケート調査で、数あるショパンの作品中では、1番の人気曲という結果が出ましたので、もう1度今回この曲を演奏させて頂こうと思いました。又、その他ドビュッシーの「喜びの島」とクライスラー作曲=ラフマニノフ編曲の「愛の悲しみ」もお届けいたしたいと思います。
ドビュッシー「喜びの島」は、ワトーの「シテール島への船出」という名画からの着想で作曲されたとしておりますが、実は、1903年から1904年は、ドビュッシーの2番目の妻となるエンマ・バルダックと丁度出会いジャージー島へと逃避行した時期でもあります。実際の生活と名画からのインスピレーションが重なって見えてきます。シテール島、そこへ行けば欲しいものすべてが手に入れられるという楽園の島です。船出していく様子、そして、その島へ到着するまでが表され歓喜に満ちた楽曲となっています。豊かな色彩、ファンタジックで官能的な表情をもった名曲といえるでしょう。
「愛の悲しみ」は、1921年の作曲で、静かなワルツの中に悲しく抒情的なメロディーが流れます。作曲家で、ヴァイオリニストであったフリッツ・クライスラー(1875~1962)の名曲を、ラフマニノフが、ピアノの曲に仕上げた作品です。
原曲の冒頭には、「レントラーのテンポで」と、書かれていますが、ラフマニノフの編曲の方の冒頭には、「ワルツのテンポで」とあります。この違いにより、原曲のレントラーという田舎風の踊りのイメージというよりは、ラフマニノフは都会的で洗練された踊りを求めていたように感じます。また内声に流れる半音階は執拗に何度も現われ、哀愁を拡張しています。「悲しみ」ではありますが、どこかに望みもあり、憧れも含んでいる心にしみる作品です。
以上のように今回のコンサートでは、穏やかな春というよりはあえて、躍動感ある、きらめきに溢れた楽曲を揃えてみましたので、その点をお楽しみ頂けたら幸いです。
あなたにとって音楽とは何ですか。
一時、子育てにおわれて、音楽とはお別れした状態の頃もありましたが、今は再び音楽が生きていく上での主軸となっています。一口に音楽といっても様々なことがあります。音楽を聴くこと、教えること、学ぶこと、など沢山あります。今回のこの演奏会に関していえば、今まで学んできたものを基にして、いかに自分の気持ちを素直に表現して、聴いて下さる方に喜んで頂けるかということです。コロナでステイホームの日々ですが、その集大成の意味で4月3日に向けてできる限りのことをしてこの日を迎えたいと考えています。
演奏会情報
2021年4月3日(日)神谷玲子 ピアノ リサイタル 第9回~早春の躍動ときらめき~(振替公演)
会場:東京・日暮里サニーホールコンサートサロン
時間:17:30開演(17:00開場)
料金:全席自由 2,000円
出演者
神谷玲子
Reiko Kamiya,ピアノ
武蔵野音楽大学ピアノ科卒。エッセンフォルクヴァンク芸術大学卒。「エレーナリヒテル国際ピアノコンクール」第3位。「万里の長城杯」第2位。「長江杯」第3位。「アジア国際文化芸術フェスティバル」優秀賞。「全日本クラシック音楽コンサート」優秀賞。「東京ピアノコンクール」審査員賞。ピアノリサイタル、二台ピアノコンサート他、日本ニューフィルハーモニー管弦楽団、 TIAA管弦楽団と共演。故デトレフ・クラウス、故小川冨美子、故梅谷明、故石井三恵各氏に師事。太田国際音楽セミナーにて、ウラディミール・トロップ、リュドミラー・プルゥーシニク、故イーゴリ・ニコノビッチ、イーゴリ・レべデフ各氏に師事。
曲目
ベートーヴェン:ピアノソナタ 作品53 ハ長調「ワルトシュタイン」
クライスラー=ラフマニノフ:愛の悲しみ
ドビュッシー:喜びの島
ショパン:英雄ポロネーズ 作品53 変イ長調
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