【インタビュー】2023年4月16日(日)椎屋冴彩ソプラノ、フルート、ピアノ アンサンブル リサイタル

【インタビュー】2023年4月16日(日)椎屋冴彩ソプラノ、フルート、ピアノ アンサンブル リサイタル

2023年4月16日(日)に日暮里サニーホールコンサートサロンで椎屋冴彩ソプラノ、フルート、ピアノ アンサンブル リサイタルを開催いたします。リサイタルに向けて椎屋冴彩さん、中村淳さん、渡辺友梨香さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。

椎屋さん:この度はリサイタルの機会をいただき、ありがとうございます。初の東京でのコンサートで、緊張しつつも待ち遠しい日々を過ごしております。今回は私が今まで学んできたプッチーニのオペラアリアをメインに、ブラームス、チレアなどロマン派の作曲家に集中して歌わせていただきます。また、高校時代からの友達と一緒にコンサートができる事、本当に嬉しく思います。
コンサートを企画するにあたって、支えてくださる東京国際芸術協会様、心強い演奏仲間、いらしてくれるお客様、すべてに感謝して、コンサートに臨みたいと思います。

中村さん:今回は椎屋冴彩アンサンブルリサイタルに花を添える事ができ大変嬉しく思います。感情の起伏豊かなイタリアオペラとは対照的に、内面性と色彩を表現するソロ作品を用意しました。歌とフルートの相性はとても良く、古くはカンタータから喜哀の表現に用いられています。日頃歌から学ぶことも多く非常に楽しみです。
また、このような機会を設けて下さいました東京国際芸術協会様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。

渡辺さん:椎屋さんの記念すべきリサイタルで共演させていただけることをとても嬉しく思っております。歌との共演は奥深く、非常にやりがいを感じます。椎屋さんの美しく表現豊かな歌声が引き立つよう、そして多彩なプログラムの良さを引き出せるよう演奏できればと思います。お越しいだいた方々に楽しんでいただけるような演奏会にしたいです。

演奏する曲の聴き所などを教えてください。

椎屋さん:今回のコンサートは、華やかなイタリアオペラや、美しい歌曲など、ロマン派時代のものを演奏させていただきます。ロマン派時代の曲は特に激情を秘めた曲が多く、体力が大幅に削られるものも多いのですが、だからこそ解放されたパワーを届けられる音楽があると信じて精一杯演奏したいと思います。情緒豊かなメロディに合わせて、心理描写豊かなピアノ伴奏や、フルートのアレンジを入れた曲目もありますので、楽しんでいただけたら幸いです。

中村さん:牧神の午後への前奏曲は言わずと知れたオーケストラの有名曲でドビュッシーの出世作です。冒頭Cisの音は現代のフルートにおいてトーンホールと呼ばれる音の出る穴が小さく、また全ての指を離すためとても不安定な音色となり微睡みの世界へと誘います。
牧神の象徴であるパンの笛をイメージするフルートが曲全体を通し重要な役割を担っており、また彼の印象派たる所以かつ音楽的な特徴ともいえる波のようなグラデーションが美しい作品です。本日はフルートとピアノのみですがオーケストラのような濃淡や明暗を表現できるよう演奏します。

渡辺さん:ブラームスの歌曲は、ピアノパートも歌と同等に重要な役割を担います。歌詞に対応した音型や和声などは繊細なニュアンスに富んでいて、細部までこだわって書かれています。また、プッチーニをはじめとするオペラ曲では、ピアノという楽器でオーケストラの華やかなサウンドを表現したいと思っています。フルートともに歌に寄り添ったり、掛け合いをしたりなど、アンサンブル的な部分も是非お楽しみください。ピアノソロは、声楽曲がもとになった作品を演奏します。ピアノですが人間の歌のように、歌詞が聞こえてくるような演奏を目指したいです。

あなたにとって音楽とは何ですか。

椎屋さん:私にとって、音楽は無くてはならないものです。もっと詳しく例えようとしたのですが、上手く例えが見つからず…。
音楽は、力であり、呼吸であり、体の一部のようなものだと漠然と感じます。そんな身近にあるものを、いかに丁寧に磨き上げて、完成させるか。生涯のテーマになると思います。
どんなに遠い道のりでも、私の音楽が聞いてくださる皆さまに寄り添えるような演奏が出来たら嬉しいです。

中村さん:稼ぐたm…おっと、失礼しました。音楽とは「寄り添うもの」でしょうか。
21世紀に入り益々情報化社会となり何事も便利になり過ぎている昨今、効率化を目指し無駄を減らして利益を増やす運動が増えてきているように思います。その中で言葉を介さず、また人に伝わるかも分からない非効率的な音楽というものは、自分を見つめ直し心の豊かさを育む大切なものに感じます。
クラシックでもポップス等でもたったの5分、10分で感情が揺さぶられ、心が動き自分に寄り添ってくれる、また聞く年齢や境遇により感じ方が変わる変幻自在な音楽は掛け替えのないものです。
歴史的にも神と人間を繋ぎ寄り添うものから、貴族、愛好家、そして大衆に寄り添い続けている音楽。皆さまの何かしらの琴線に触れられる演奏を届けられたら幸いです。

渡辺さん:私にとって音楽は、様々な世界と自分を繋いでくれるものだと思っています。音楽を学んでいくなかで、世界の文化や歴史を知ったり、音楽に関連する文学作品や美術作品を知ったりと、新しい世界にリンクするきっかけになっています。ピアノを習い始めてからもうすぐ20年になりますが、今でも日々新しい発見ばかりで興味が尽きません。また、繋がりという点では、音楽による人との新しい出会いもあります。コンサートでお客様に演奏を聴いていただけることにも心から感謝しております。今回も、音楽を通して皆様の心と繋がれるような演奏会になると嬉しいです。

演奏会情報

2023年4月16日(日)椎屋冴彩ソプラノ、フルート、ピアノ アンサンブル リサイタル
会場:日暮里サニーホール・コンサートサロン
時間:13:30開演(13:00開場)
料金: 全席自由 2,500円

出演者

椎屋冴彩
ソプラノ

14歳より声楽を始める。名古屋市立菊里高校音楽科卒業、愛知県立芸術大学声科卒業。イタリア、サレルノにて演奏、尾張旭市文化会館にて「コロナウイルス対策ホール実験型事業」コンサートに三度出演。コンサートグループ「花の詩」30周年記念公演にてかすがいオペラ「しずく柳」に出演。これまでに飯田牧子、末吉利行、各氏に師事。現在、森川栄
子氏に師事。

中村淳
フルート

13歳よりフルートを始める。ペルージャ
国際音楽コンクール(伊)木管楽器部門第1 位 。併せて現代音楽賞受賞 。競楽《ⅩⅣ》《ⅩⅤ》本選出場。名古屋市立菊里高校音楽科、東京藝術大学を経て東京藝術大学大学院在籍中。若い芽を育てる会牛尾シズエ賞。2022年度山田貞夫音楽財団奨学生。

Photo Ayane Shindo

渡辺友梨香
ピアノ

名古屋市立菊里高校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部を卒業。現在、同大学院修士課程に在学。ソリストとして、セントラル愛知交響楽団、愛知室内オーケストラと共演。ベヒシュタイン室内楽コンクール、モーツァルト=ザルツブルク国際室内楽コンクールにていずれも最高位を受賞。サントリーホール室内楽アカデミーフェロー。

曲目

F.チレア:オペラ『アドリアーナ・ルクヴルール』より 「私は創造の神の卑しい下僕」

G.プッチーニ:オペラ「ラ・ボエーム」より 「私の名前はミミ」

C.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 (arr.ED.ザマズィユ)

F.リスト:愛の夢 第3番