【インタビュー】ジュラ・キシュ教授(Gyula Kiss, Dr)

【インタビュー】ジュラ・キシュ教授(Gyula Kiss, Dr)

2024年3月14日(木)にミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室でGyula Kiss & Friends 6を開催いたします。

今回は前半にピアノの後藤宏一氏が独奏を務めるショパンのワルツ2曲と「英雄」が演奏され、フルートの後藤恭子氏、チェロの中村浩太郎氏、そしてジュラ・キシュ教授によるウェーバーのフルートトリオ ト短調 作品63番が演奏されます。後半はジュラ・キシュ教授によるR.シューマンの子供の情景 作品15番が演奏され、そして後藤宏一氏、ジュラ・キシュ教授によるラフマニノフピアノ連弾の為の 6つの小品作品11番をお届けします。

ジュラ・キシュ教授に今回の公演についてインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

Q.今回のコンサートのプログラムについてはどう思いますか?

観客の皆さんには若い人が多いので、シューマンの「子供の情景」は彼らに適した分かりやすい曲だと思います。そして、最初からロマンチックなプログラムを選びたかったのです。それに加えて、9月には息子のDLAコンサートでもウェーバーのピアノトリオを演奏しました。この曲は今まで弾いたことがなかったので、新しいものを弾いてみたいと思いました。

Q.あなたにとって日本で公演することはどんな意味がありますか?

私は 1974 年に初めて日本で演奏しました。過去 50 年間に 200 以上の異なる都市で演奏しましたが、聴衆は常に音楽的に高度な教育を受けていました。日本では演奏会の開始時にだけ観客が熱狂することに最初は驚きました。それは私が今までヨーロッパで経験してきたものとは大きく異なり、とても特別なことだと思いました。日本人は簡単に人を信じない、だけれども仲良くなるにつれて、まるで親戚のような良い友達のように感じました。日本に旅行したり、日本でパフォーマンスをしたりするのは、私にとっていつもとても光栄なことです。

Q.今回このメンバーで演奏する意味は?

私たちはとても仲が良く、後藤恭子さんと後藤宏一(ヒロカズ)さんとは過去25年間に何度も一緒に演奏してきました。彼らと再び共演できることにとても興奮しており、幸せです。中村浩太郎さんとお会いし、共演するのも楽しみです。 私はウェーバーのピアノトリオを2023年9月にハンガリーで他の音楽家と演奏しました。私は色々なメンバーで作品を演奏し、さまざまなアプローチで曲を作り上げていくことが大好きです。

Q.日本のファンにメッセージをお願いします。

私たちは今、パンデミックや戦争のせいで、とても奇妙で危険な世界に住んでいますが、この状況下でも音楽やアートは重要な位置を占めていると思います。静寂、瞑想、そして自然の美しさは常に日本人の精神性と伝統に近かったのです。音楽を聴くことは人々の心を落ち着かせ、和らげてくれますし、今日の現実の中で休息を与えることもできます。それを聴衆に伝えるのが音楽家の一番大切な役割だと私は思っています。そのため、常に多くの才能ある若い音楽家の演奏を聴くことができるコンクールというものも楽しみにしています。これは私に未来への希望を与えてくれますし、この世界で芸術が最も重要なものの一つであると考えている人々がまだまだたくさんいるのだと思わせてくれます。

演奏会情報

2024年3月14日(木)Gyula Kiss & Friends 6
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール 市民交流室
時間:19:00開演(18:30開場)
料金: 全自由席 5,000円

出演者

ジュラ・キシュ
Gyula Kiss, Piano

ハンガリー政府よりフランツ・リスト賞を授与されたジュラ・キシュはベートーヴェン、ツェルニー、リスト、シゲティ、マガロフという系譜上にいるピアニストである。1944年ハンガリーブダペスト生まれ。6歳からプロとして演奏活動に入った天才である。ジュラ・キシュは1966年、ハンガリーのリスト・バルトークインターナショナルコンペティションに入賞し脚光を浴びる。また、ハンガリーテレビ・ラジオコンクールで1位を得る。1967年、1968年、イタリアのタオミナに於けるCISM国際ピアノコンクールに於いて、1位、グランプリを受賞する。この年リスボンにて、国際ヤングピアニストフェデレイションの招待演奏を行い大成功を収めた。その後、ジュラ・キシュはハンガリーの最も期待するピアニストとして、ハンガリーの主要オーケストラと共演し、テレビ、ラジオ、そして、レコーディングと精力的に活動を始め、現在も進行中である。
1970年前半は、オーストリア、チェコ(プラハの春)、イタリア、フランス、ギリシア、(アテネフェスティバル)、スペイン(グラナドェスティバル)、西ドイツ等の国々においてコンサート活動をする。1973年、ハンガリー国立交響楽団のソリストとして、カナダ、アメリカ、(カーネギーホールのリサイタルを含む)で演奏を行う。1974年、オーストラリア・オペラハウス、シンガポール、日本においてコンサートツアーを行う。1975年から1985年は、客演奏者として、ソビエト(現ロシア)、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、東ドイツ、イギリス、オランダ、etc…で演奏を行う。1985年から1988年は、武蔵野音楽大学において客員教授として来日する。1989年から現在において、各国の主要オーケストラでソリストとして演奏を行っている。1995年リリースされたバルトーク集のCDは、アメリカで好評を得る。1998年、一晩でベートーヴェンのピアノコンチェルト3番、4番、また、二晩連続でベートーヴェン、チャイコフスキーのピアノコンチェルトを演奏し、またその間、リスト音楽院の大ホールでリサイタルを行う等、エネルギッシュな活動を行っている。1999年3月から2003年3月まで韓国のYeungnam Universityのピアノ科客員教授として就任。2000年2月、東京オペラシティコンサートホールと沖縄市民会館大ホールにおいてソロリサイタル『癒しの原点』を行い、好評を博す。同月、横浜にてCIALミレニアムコンサート2000、に客演奏者として出演。8月に行われた、サマーセミナーin湘南国際村の特別講師として来日。同年12月、東京、浜離宮朝日ホールにおいて、ジュラ・キシュ&後藤宏一ダブルリサイタル『ロマンティックな夕べ』を行う。2000年、フンガロトン社より『Beethoven-LisztSymphonies Nos1-9 Piano Version』がリリースされ、ベートーヴェン作曲リスト編曲、交響曲5番、7番を演奏している。2002年、同社より、3枚組CD『FIFTY YEARS OF HUNNGAROTON』がリリースされ、シフラ、アニー・フィッシャーを筆頭に、Disk2でリストの「忘れられたワルツ」を演奏している。他にも、アンドラーシュ・シフ、ゾルターン・コチシュ、ディジュー・ラーンキ、イエネ・ヤンドー等が収録されている。
2007年から2009年も韓国のYeungnamUniversityのピアノ科客員教授として迎えられる。リスト音楽院での師はパール・カドシャ、イタリア給費留学時代の師はニキタ・マガロフである。ハンガリー国立リスト音楽院教授を退官し、現在、Leo Weiner Conservatory of Music主任教授。ソリスト、室内楽三重奏と演奏も精力的におこなっている。2010年~ジュラ・キシュ国際ピアノコンクール審査委員長を務める。2024年第13回ジュラ・キシュ国際ピアノコンクール審査員長を務める予定。

後藤 宏一
Hirokazu Goto, Piano

逗子開成高等学校在学中、ピアノを増田宏昭、安孫子和子の両氏に、音楽理論を安東裕躬氏に師事。1985年武蔵野音楽大学器楽科ピアノ専攻入学。在学中、ピアノを安孫子和子氏に師事1989年同大学を卒業。1989年4月渡欧。同年9月ハンガリー国立リスト音楽院ピアノ科入学。在学中、ピアノをジュラ・キシュ、アッティラ・ネメティ、ペーター・ナージュの各氏に、室内楽をエステル・ペレーニ、ジュラ・キシュの両氏に師事。1991年5月、旧リスト音楽院のホールに於いて、ソロ、室内楽の演奏会を行う。1992年3月リスト音楽院のホールに於いて、チャイコフスキーのピアノコンチェルト第一番を演奏し、好評を得る。1992年3月ハンガリー国立リスト音楽院ピアノ科修了。帰国後、帰国リサイタルを皮切りに国内外で演奏を行っている。チェコのマルティヌーカルテット、ノスティッツカルテットとピアノクインテットなどの演奏、2000年、恩師とジュラ・キシュ&後藤宏一Wリサイタルで共演をする。数々のピアノ協奏曲をオーケストラとの共演で行う。2009年7月TPIEディプロマ認定。2010年8月~ジュラ・キシュサマーセミナーinハンガリーに於いて通訳兼アシスタントを務める。CDも「現代音楽の夕べ」「VIEW」「輝きと融合」など積極的にレコーディングを行う。2013年12月、横浜国際アーティスト教育協会を設立、代表理事兼会長に就任する。2010年~ジュラ・キシュ国際ピアノコンクール審査員を務める。2024年第13回ジュラ・キシュ国際ピアノコンクール副審査委員長を務める予定。

後藤 恭子
Kyoko Goto, Flute

神奈川県立翠嵐高等学校卒業。武蔵野音楽大学器楽学科フルート専攻卒業。在学中、福井直秋記念奨学生に選ばれる。ハンガリー国立リスト音楽院修了。リスト音楽院のホールにおいて演奏会に出演。帰国後、日暮里サニーホール、横浜みなとみらいホール、大倉山記念館等でソロリサイタルを行う。現在、後進の指導にあたりながら、海外アーティストとの共演、アンサンブルのコンサートに出演等、積極的に音楽活動を行う。これまでにフルートを故甲斐道雄、三村園子、ローラント・コヴァーチ、マトゥーズ・イシュトヴァンの各氏に師事。

中村 浩太郎
Kotaro Nakamura, Violoncello

神奈川県立弥栄東高校音楽コース卒業、国立音楽大学卒業。同大学の室内楽コースを修了。チェロを藍川政隆、井上弘之、杉原捷子、三戸正秀、藤森亮一の各氏に、室内楽を徳永二男、漆原啓子の各氏に師事。TAMA音楽フォーラムにて弦楽四重奏のメンバーとしてライプツィヒ・カルテットの公開レッスンを受講。現在は同好の輪を広げるべくチェロ講師、弦楽団体のトレーナーやフリーの奏者として関東を中心に活動中。

曲目

F.ショパン:ワルツ 作品69-1、69-2
F.ショパン:ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53番『英雄』
ピアノ:後藤宏一
C.ウェーバー:フルートトリオ ト短調 作品63番
フルート:後藤恭子 チェロ: 中村浩太郎 ピアノ:ジュラ・キシュ
R.シューマン:子供の情景 作品15番
ピアノ:ジュラ・キシュ
S.ラフマニノフ:ピアノ連弾の為の 6つの小品 作品11番
ピアノ:後藤宏一、ジュラ・キシュ