【インタビュー】2024年6月30日(日)MEGUMI60 中野 恵 ヴァイオリンリサイタル

【インタビュー】2024年6月30日(日)MEGUMI60 中野 恵 ヴァイオリンリサイタル

2024年6月30日(日)に東京・日暮里サニーホールコンサートサロンで「MEGUMI60 中野 恵 ヴァイオリンリサイタル」を開催いたします。リサイタルに向けて中野恵さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。

「人生の節目に、やるべきことをやる」このことを実感したのは今から13年前、2011年6月のこと。お見合い結婚した両親が結婚50周年になるので、音大卒業後専業主婦になっている姉を誘って、実家で私(ヴァイオリン)と姉(ピアノ)で何か演奏し、金婚式のお祝いをしよう、と企画しました。母は「こんな人(父)のために50年も人生を棒に振って、めでたくも何ともない」と大反対。姉に伴奏してもらったのはもう40年前。母には「これはセレモニーとして」と何とか説得し、ブランクの空いた姉には1年前から弾けそうな曲(マリー「金婚式」他)の楽譜を送って、本番前に数回姉とピアノ合わせ練習をしました。そして当日。実家のピアノは何と半音下がったままの調律状態だったので調弦もそれに合わせ、何とか決行。正直なところ、私はミッションを遂行するのに精一杯でしたが、後で姪(姉の長女)が撮ってくれた写真の、物静かで口数の少ない父が、私達の演奏を聴きながらとても嬉しそうにしている顔を見て、初めてやって良かったと確信しました。

月日が経ち父は2019年に永眠し、今年6月、私は還暦になります。私が60になるということは、母は90(卒寿)になります。

「母の生きているうちにリサイタルをやらなければ」というのが、正直な抱負になります。このリサイタルが無事終わったら、日々のレッスンの傍ら、「要介護2」の母を世話する時間も増やさなくてはなりません。

今回のリサイタルでは、私の小学校の同級生など、普段クラシックの演奏会に無縁そうな友人達もたくさん聴きに来てくださいます。その方達にも楽しんでいただけるよう、前半はクラシック、後半はジャンルに関係なくポピュラーな小品のプログラムにしました。

共演ピアニストは都立芸術高校(現・都立総合芸術高校)の同級生、吉原裕子さんです。彼女には20年以上、ヴァイオリンの発表会やコンサートで共演してもらっており、私が心から信頼しているピアニストです。

演奏する曲の聴き所などを教えてください。

「60になったらモーツァルトを弾きたい」というのは私の個人的テーマでもあります。もちろん今までもモーツァルトのいろいろな作品は弾いてきましたが、敢えて例えれば、フィギュアスケートのコンパルソリー。あくまでも書かれていることに忠実でありたい。フランクのヴァイオリンソナタは、「ヴァイオリンソナタ」と銘打った曲のほとんどが「ピアノソナタ ヴァイオリンオブリガートつき」であるのに対し、珍しくヴァイオリンもピアノもおいしいメロディーがあるので、大好きな曲です。今回のプログラムの中では一番長く、四楽章全部で30分近くかかりますが、少し長めの小説を読むように、小学校の同級生にも楽しんでもらえたら、と思います。

後半のプログラムで特筆すべきは、助川敏弥先生の「ちいさき いのちの ために」。ちょうど20年前、まさにこの、日暮里サニーホール コンサートサロンで初演しました。今程インターネット環境も普及していなかったので、事前の合わせ練習の録音(当時はMD)を何度も助川先生に送って、忌憚のないご意見を頂きながら練習を重ねてきました。初演当日は今は亡き助川先生も聴きにいらしてくださいました。

あなたにとって音楽とは何ですか。

誰をも傷つけずに、言語化できない喜怒哀楽を表現できること。いろいろ便利な時代になったからこそ、わざわざチケットを買って足を運んで聴きに来てくださった方が、少しでも共感してくださったら、このうえなく幸せなひとときで、これこそが音楽であると思う。

演奏会情報

2024年6月30日(日)MEGUMI60 中野 恵 ヴァイオリンリサイタル
会場:東京・日暮里サニーホールコンサートサロン
時間:19:00開演(18:30開場)
料金: 全席自由 3,000円

出演者

中野 恵
Nakano Megumi, ヴァイオリン

東京音楽学院ヴァイオリン講師。監修・模範演奏をつとめたCD付楽譜「ヴァイオリンで奏でるラテン名曲集」(ドレミ楽譜出版社)は再販好評発売中。作曲家の故・伊福部昭、今井重幸、助川敏弥、眞鍋理一郎他各氏の作品を初演。ヴァイオリンは故・久保田良作、宮嶋眞理他各氏に師事。 共演の吉原裕子さんとは都立芸術高校(現・都立総合芸術高校)音楽科同級生。

吉原 裕子
Yoshihara Hiroko, ピアノ

桐朋学園大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。ウィーン夏期音楽セミナー参加、推薦により修了演奏会出演。´91年、国際芸術連盟新人オーディション合格、奨励賞受賞。´99年、「長江杯」国際音楽コンクール ピアノ・一般の部 第3位。飯盛山美絵子、故・堀江孝子、故・林秀光、岡村梨影の各氏に師事。現在、自宅にてピアノ教室を主宰。全国町田ピアノコンクール指導者賞受賞、東京藝術大学、桐朋学園大学進学、各種コンクール1位、上位入賞者輩出。

曲目

W.A.モーツァルト:ヴァイオリンソナタ KV.304

C.フランク:ヴァイオリンソナタ

荒井由実:ひこうき雲

助川敏弥:ちいさき いのちの ために

加藤昌則:ブリージング・エアー

チック・コリア:スペイン