柏木一颯さん(木管楽器部門高校生の部第1位)第47回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

柏木一颯さん(木管楽器部門高校生の部第1位)第47回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

第47回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

柏木一颯 木管楽器部門高校生の部 第1位

E.ボザ/ブコリック

Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。

――まさか1位をいただけるとは思っておらず自分でも驚いています。中学生のころ僕にとってとても憧れの先輩がこのコンクールで1位をとっていて、僕も1位をいつかとりたい!と思っていたので、今回その目標を達成できたのが夢のようです。決して今まで楽な道のりではなかったので、結果を聞いて少しうるっとしました(笑)。まずは支えてくれた周りの人たちに感謝したいと思います。本当にありがとうございました!

Q.音楽を始めたきっかけ、当コンクールに参加したきっかけを聞かせてください。

――小学生の時、給食の時間に流れてくる当時名も知らなかったクラシックの曲に密かに心を惹かれていて、中学生になったら吹奏楽部に入ろう!と思っていました。ピアノなどを全くやってきておらず、中学生からの音楽ライフのスタートだったので焦りも大きかったですね(笑)。このコンクールは中学3年生の時参加して、その時は演奏が上手くいかず悔しい思いをしました。それから3年間必死に勉強してあの時のリベンジをしたいと思い今回参加しました。

Q.レッスンの思い出、楽しかったこと、嬉しかったこと、大変だったことを教えてください。

――僕は高松第一高等学校の音楽科に通っています。そこで師事しているクラリネットの先生は生徒思いですが、その分とても厳しく、高校3年間では何回怒られたか分かりません(笑)。正直僕はメンタルが強い方ではなく、周りの上手な学生との差を感じてしまい苦しいことの方が多い高校生活だったと思います。しかし、先生はそんな自分の状態もお見通しで、辛い時も親身に寄り添ってくれていました。今回の曲は僕が先生に提案する形で選びました。高校生がやるようなものでは無い超難曲を選曲したので提案した時は反対されましたが、悔しくて死ぬほど練習して初めてレッスンに持っていった時はとても褒めていただけて嬉しかったのを覚えています。

Q.演奏するときに気をつけていることを教えてください。

――僕の絶対的なポリシーとして、「イメージを大切にする」というものがあります。例えばここは風が吹いているイメージだとか、小川に清流が流れているイメージだとか、、。今回演奏したボザのブコリック(Bucolique)は「牧歌」という意味があります。この曲のどこに「牧歌」の要素を見出し、それを表現するかかなり悩みました。また、「面白い演奏をする」ということです。音楽というものは基本的に人間が奏でるもの、それぞれ個性があって当然のことで、誰かの演奏を丸ごと真似るというのはあまりしないようにしています。今回の演奏でも、通常より1段階ほど遅く演奏したり、自分なりにテンポを揺らしたり、、と様々な工夫を施しました。

Q.演奏する中でお気に入りの1曲と好きなところを教えてください。

――今回演奏したBucoliqueは8分程度のクラリネットとピアノのための曲です。かなり高度な演奏技術を要する曲で、曲中でも嵐のように速いパッセージを演奏することがありますが、僕が好きなのはその中に垣間見えるゆったりとした幻想的な場面です。フランス音楽、ボザ特有の和声感がとても素敵で、演奏中もその良さを噛み締めています。

Q.今後の目標、どんな音楽家になりたいかお聞かせください。

――世界で活躍できる演奏家になることです。いつか自分も尊敬する先生方のようになって、音楽とともに生きていきたいと思っています。演奏技術だけでなく、人間としても素晴らしい人になっていきたいです。今回の結果に満足せず、より一層努力を積み重ねていきたいと思います。

Q.あなたにとって音楽とは?

――

僕にとっての「絶対的理解者」です。どんなに辛い時も、音楽は希望、生きるパワーを与えてくれます。不思議なもので、音楽は100年以上前に作られたものであろうが、時を超え現代の僕たちを勇気づけてくれる。なんて素敵なんだろう、と思います。僕たち現代の演奏家はそれを継承し発展させていく義務があると思います。もう100年先の人たちにも音楽のすばらしさを伝えていけるように、これからも勉強を頑張ろうと思います。