【優秀指導者賞受賞者インタビュー】居城麻里衣先生
- 2024.10.18
- コンクールオーディション
- インタビュー, 優秀指導者賞, 全日本ジュニアクラシック音楽コンクール
2024年に開催された「第46回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール」では、124名の先生が優秀指導者賞を受賞しました。
今回は常に生徒さんに寄り添い、音楽の感じ方、感覚的なものを共有・共感できる環境を大切する居城先生にお話しを伺いました。
インタビュー
この度は第46回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール優秀指導者賞受賞おめでとうございます。今回のコンクールに関して先生の感想やご意見、レッスンされている際に心かけていること等をお聞かせいただければ幸いです。
早速ですが、ご入賞された生徒様にはどのような言葉をかけられましたか?
まずは演奏面に対し、講評を言うようにしています。賞は、頑張って挑戦した生徒たちにとって努力した証みたいなものですので、頑張ったことや成長を褒めるようにしています。
生徒様お一人お一人で目標が異なり、結果に対して満足されている方もいらっしゃれば中には全体で見れば充分な結果であってもご本人としては悔しいと感じる方もいらっしゃると想像しています。
お一人お一人にフィードバック、お声掛けをされる上で悔しい思いをされた方がいらっしゃった場合に先生はどのような声掛け、向き合い方をされていらっしゃいますでしょうか?
少し質問からずれてしまいますが、まずみんなに言えることは、ソロコンテストに出場すると決め、その選曲から様々な音楽に触れたり、技術を得ること、また楽譜の読解力を高めることを学びます。目標の本番の日まで出来る限り練習を重ねて、練習や本番で演奏がうまくいったことも、いかなかったこともそのコンテストに挑戦しなければ気付けないこと、わからないこともあると思います。
もちろんコンテストにでなくてもレッスンや練習でやれば良いのでは?とも思いますが、ピアノ伴奏と合わせるチャンスや、仕上げたものをステージで発表する機会があるからこそ、限られた時間の中で目標を持って取り組めるのだと思います。ですので、その生徒に合わせて、その都度結果にこだわらず、今の課題や今後さらに高めたいことなどに重きを置いて、声を掛けて指導しています。
ソロコンテスト出場をひとつの木の幹とするならばそこから選曲であったり伴奏者との合わせで生まれる経験、ステージ上で得られる経験といった様々な枝分かれがあり、生徒様個人個人で枝の長さや方向が異なったとしても成長の過程に重きを置かれ、お声掛けもくださっているという一つのイメージが浮かんでまいりました。先生と生徒といった単純な上下関係だけでのアドバイスではなく、選択肢を与えながら導いていくというアプローチをされている点が音楽の世界のみならず参考にすべき指導方法であると身をもって感じました。
今回のコンクールで1番印象的だった思い出や出来事はありますか?
わたしの生徒たちは吹奏楽部と掛け持ちしている人がほとんどで、本番の直前まで仕上げが間に合わないと焦っていました。ですが、どの生徒も最後まで諦めずに演奏をし、みんな本番が練習より一番良く吹いていて、本当に驚きました!
私も学生時代吹奏楽部に所属しており、当時は部活動とそれ以外の活動との時間の管理がなかなか難しかったと記憶しています。そんな中頑張りや成長を褒めていただける存在というのは大きな支えだと感じます。
部活動とそれ以外の活動の両立は難しかったというご意見は私も吹奏楽三昧で強豪校に所属していましたのでとても理解できます。なので、大概の学生は部活の練習だけでの技術力で演奏していますが、それだけではなかなか伸びないので、さらに自立した演奏者に育てるきっかけとして、ソロコンテストを推奨しております。
全日本ジュニアクラシック音楽コンクールは基本的にソロでの参加となっていますが、仲間としてのつながりがあるように感じました。部活動と掛け持ちされている生徒様がみんな最後まで諦めずに演奏されて、生徒様同士で声を掛け合うなど連帯感のようなものはありましたでしょうか。仲間としてのつながりがあるように感じました。
学校が違っても生徒通しが繋がっている部分は十分あると思います。話したことがない関係でもレッスンの前後に少し聴けたり、誰々がやっていた曲を吹いてみたいです!という声もよく聞きます。中には目標にする先輩がいたり、上手になっていく人を近くで感じながら、通ってくれている生徒も少なくはないと思います。相乗効果はやはり生徒のモチベーションにも繋がると思いますし、外の世界に一歩踏み出すには想像以上に勇気がいると思いますが、同じステージで一緒に演奏するのではなくても、共に頑張れる環境ということは、貴重だと思います。個々はもちろん、最終的にみんなでフルートを楽しく演奏してくれていたらとても嬉しいです。
生徒様の間でも良い相乗効果が生まれているというのが印象的に感じますね。
私の中では目標とする人への憧れであったり互いを意識し合って高め合う関係を想像していましたが、他の生徒様が演奏されていた曲を吹いてみたい、といったより前向きかつ自発的な姿勢であったり、直接言葉を交わさずともレッスンの前後で音を耳にすることで感じるものがあったりと、音楽が繋いだ絆が自然と自身を後押しする力になりますね。
因みにレッスンの中では大切にされていることは何ですか?
音楽の感じ方、感覚的なものを共有・共感できる環境を大切にしています。
共感できる環境はとても大事なことですよね。先生は理想の講師像のようなものはありますか?
先生と生徒という壁を取っ払って、単純に私と一緒に音楽作りを楽しんだり、共に演奏をすることに喜びを感じてもらえたら、とても嬉しいです!
多くの生徒様をご指導される中で先生と生徒様との間の信頼関係と言いますか良い関係性が伝わってきますね。
最後に今回ご入賞された生徒様へ日頃なかなか直接言えないメッセージなどがあればお願いいたします。
日頃から私がレッスンで意識していることは、「学生時代に目標を持って努力することは何よりも有意義な経験」だと思っております。ご家族で励まし合いながら、子どもの挑戦を支えるご家族の姿が、私の指導の原動力になっております。
優秀指導者賞というこの栄誉ある賞を受賞できましたのは、私ひとりの力ではなく、学生時代に私を指導して育ててくださった尊敬する先生方と、日々私のレッスンに通ってくれる生徒たちとそのご家族のお陰と実感しております。
今後とも、フルートを通して演奏する楽しみや、音楽の魅力を伝えられるように、より一層邁進して参ります。
インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
プロフィール
居城 ⿇⾥⾐
いじろまりい, フルート
埼玉県出身。埼⽟栄⾼等学校卒業。武蔵野⾳楽⼤学卒業。フルートを⽩尾 隆、安⽥ 久美⼦、清⽔滋⼦の各⽒に師事。中学校・⾼校にて吹奏楽やフルート講師をする他、⾃宅⾳楽教室にて後進の指導・育成に⼒を⼊れている。全日本ジュニアクラシック音楽コンクール、日本クラシック音楽コンクール、日本管弦打楽器ソロ・コンテストにおいて優秀指導者賞を多数受賞。日本クラシック音楽コンクール全国大会審査員を務める。 美術展、ブライダル、レストランコンサート、イベント演奏、西武 旅するレストラン 52席の至福にて生演奏を担当。Dancing Flute LIVE、ムジカ・クオーレフルートアンサンブルに所属。
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