田村雅恵さん(声楽部門マスターズAの部第1位)第3回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

田村雅恵さん(声楽部門マスターズAの部第1位)第3回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

第3回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

田村雅恵 声楽部門マスターズAの部 第1位

G.プッチーニ/「蝶々夫人」より ある晴れた日に/蝶々夫人役

Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。

――初参加のコンクールで緊張しましたが、素晴らしい賞をいただけてとても嬉しいです!また、難易度の高い曲での挑戦だったので、非常に良い評価をしていただけたことに感慨深い気持ちでいっぱいです。指導者の石渡千寿子先生には、たくさんのレッスンで毎回熱心に、大変親身にご指導していただきました。はじめは全くできなかった蝶々さんの心情を表す表現が、繰り返し丁寧に教えていただくことで少しずつできるようなって喜びを感じていましたし、レッスンの録音を聴いて復習する度に活力が湧いてくるので、日常生活のモチベーションが高まり、レッスンを中心にとても良いサイクルで過ごせました。そしてレッスンにも本番にも何度もお付き合いいただいたピアニストの長澤惠美子先生にもいつも力強くサポートしていただき、お二人の先生と三人でここまで進んで来られたことに、この上なく幸せを感じています。また、共にコンクールに挑戦してきた仲間や、同じ教室の生徒さん、友人、家族の真心こもった応援があったからこそ、心強く本番を迎えることができました。この場をお借りしてみなさんに心からの感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました!

Q.本選での選曲について、選曲理由、作品の聴きどころについてお聞かせください。

――選曲の一番の理由は「希望と信念」の思いが込められた歌が歌いたかったからです。これまでは悲しい気持ちを表現する歌が多かったのですが、希望や信念の気持ちが込められた歌を歌い、自分自身から希望溢れるエネルギー、信念のエネルギーを発信したかった。このご時世だからこそ、強くそう思いました。「蝶々夫人」は悲しいストーリーではありますが、「ある晴れた日に」では、夫の帰りを固く信じ、心から楽しみに待つ蝶々さんの心情が、プッチーニの大変麗しいメロディによって描かれています。情景が目に浮かぶような音楽には、聴いていてまるでその世界の中に入り込んでいくかのような魅力があります。選曲にあたっては、この曲は大曲であるが故に、審査員の方々の評価もより厳しくなると先生から伺っていたので、コンクールには覚悟を決めて挑みました。良い結果を出すことだけ考えるならば他の曲を選びましたが、それ以上に、蝶々さんの希望や信念が描かれているこの曲を、自分の源から溢れ出すエネルギーで歌いたかったのです。准本選からこの曲を歌いましたが、良い成績で通過できた時にはホッとしたと同時に、いつも以上に感激で胸が熱くなりました。

Q.今後の意気込みをお聞かせください。

――何よりも「自分自身を㤅(あい)で満たす」演奏をしていきたいです。㤅とは旡ぶ(むせぶ)心、と書きますが、日本語本来の「愛」を表す漢字です。これは自分本位な演奏をするということではなく、源から込み上げるような㤅で自分自身を満たす歌を歌いたい。そうすることで初めて、聴いてくださる方の魂を揺さぶる演奏ができると信じています。エネルギー溢れる演奏のためには、まずは基礎固めとして、発声、技術、語学、知識など、どん欲に総合的な学びに取り組んでいくことが、アマチュアから歌を始めたわたしには必要だと考えます。その実行のために、今温めている次なる目標があるので、蝶々さんのように希望と信念をもち、いつもワクワクしながら挑戦していきたいです!直近では年内にあと2回「ある晴れた日に」を歌うコンサートがありますので、今回の反省点をブラッシュアップして、自分自身も聴いてくださる方も㤅で満たされるような、より良い演奏ができるよう頑張ります!12月25日にはサントリーホールブルーローズにて、第91回TIAA全日本クラシック音楽コンサートに参加させていただく予定です。もしよろしければぜひ聴きにいらしてください♪