河合竜謙さん(ピアノ部門大学3年生の部第1位)第48回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

河合竜謙さん(ピアノ部門大学3年生の部第1位)第48回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

第48回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

河合竜謙 ピアノ部門大学3年生の部 第1位

S.プロコフィエフ/風刺(サルカズム) Op.17

Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。

――コンクールを受けるとなると、やはり結果に意識が向きがちです。しかし、自らが目標を設定し、それを達成するためのプロセスが生まれることにこそコンクール本来の意義があると考えています。今回は、万全の準備を以て本番に臨むことができました。その上、第1位という結果をいただくことができたのは冥利に尽きることであります。そして、私が最も注力しているプロコフィエフの演奏が評価されたことを、大変喜ばしく感じています。万人受けするような演奏など存在しないと思いますし、自分の演奏を聴いて感動してくれる人が一人でもいると信じて弾くほかありません。今後もプロコフィエフの魅力をより多くの人に伝えられるよう精進して参ります。

Q.演奏するときに気をつけていることを教えてください。

――楽譜に書かれている全ての音に意味があり、心があるということです。これはあらゆる時代・国の作品に共通して言えます。歌詞は無くとも、一音一音が言葉なのです。全ての音を大切に弾くことによって、作品に生命が宿るのではないでしょうか。また、作曲家やその作品に対して誠実に向き合うことを心がけています。これはある種のパラドックスですが、楽譜に忠実であることは演奏に自由をもたらします。作曲家や作品の背景について知り、楽譜を深く読み込むことで、かえって演奏表現や解釈の幅に広がりが生まれます。デュナーミクやアゴーギクの範疇を超えた「心からの表現」は、AI時代においても人間のみぞ可能たらしめる芸術でありましょう。

Q.あなたにとって音楽とは?

――ある意味で「ライフライン」とさえ言えます。自分で音楽を聴いたり演奏したりするのは勿論のこと、我々は日常生活において否応なく音楽に接しています。例えば、スーパーや美容院などではたいてい音楽が流れています。そんな音楽が世の中から無くなったとしたら、極めてアンニュイな日々を送ることになるでしょう。不安なときや落ち込んでいるとき、音楽は必ず人の心に寄り添ってくれます。音楽は人々をプラスの方向へとリードする、目には見えない大きな力を持っているのです。またクラシック音楽に限ると、作品に触れることによって、偉大な作曲家たちと時空を超えて会話できることに魅力があると考えています。素晴らしい作品に出会える喜び、それを自分の手で演奏できる幸せを実感しながら、これからの人生を音楽とともに歩んでいきたいと思います。