第27回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール審査員所感Message from judges
全日本ジュニアクラシック音楽コンクールの審査に携わって下さった先生方から、御担当いただいた予選・本選・全国大会について総評をお寄せいただきました。今後コンクールに御応募を予定していらっしゃる親御様、御本人、また生徒の参加を予定していらっしゃる先生方への貴重なメッセージとなっております。
※先生からのメッセージの一部を抜粋して掲載しています。
須田啓子 先生 みっきー音楽教室 教室長
今回のコンクールの審査をさせていただきまして気づいたことを述べさせていただきます。総じて、コンクールに対しての姿勢の2極化が目につきました。1つは、参加することに意義があるという考え方。もう1つは、コンクールを利用するという考え方です。「コンクールは参加することに意義がある」確かにそういう考え方もできると思います。しかし、ただ出場することに何の意義があるのでしょう?コンクール本番の日を目指して、現在の自分の精一杯の実力を披露するつもりで日々努力精進し、練習を積み重ねる、その気持ちがあってはじめて、コンクールに参加する意義があると私は思います。
今回審査させていただいて、その準備が十分でない、すなわち十分に練習できていない参加者の方がいらっしゃったと感じました。練習を積み重ねてきたか否かは審査をさせていただくと本当によくわかります。審査員は、私を含めて、参加者のみなさんの良いところを伸ばし、弱点を克服するためのアドバイスにするために、講評を書かせていただきます。練習不足の参加者の方々の場合、あらが目立ちすぎて、効果的なアドバイスをすることができません。そこがとても残念でした。一方、これは大学生にいらっしゃいましたが、コンクールを利用して、舞台経験を積んでいる方々がいらっしゃいました。技巧を駆使し、演奏している姿は、まるでコンサートのステージのようでした。また聴きたいと思える演奏に出会うことができるのも、コンクールを審査する醍醐味であるかもしれません。とにもかくにも、みなさんの演奏を審査させていただくことは、大変勉強になりました。本当にありがとうございました。
佐藤久美 先生 ピアノ講師
予選、本選と聴かせて頂いて感じたことは、やはり「癖」と言いますか、「個性」と言うべきでしょうか、違う曲を2曲聴かせて頂きましたが同じような印象を受けました。勿論、予選で注意されていたところを気をつけて良い方へ変化されていた方もいらっしゃいましたが、全体的な雰囲気というものは、その方の持っていらっしゃるものが変わらず出ているのかな、と改めて感じました。予選の時に安定した演奏をされている、と感じた方は、やはり本選でも安定した演奏をされていると感じました。いつもできてるはずなのに、こういった審査をされるような緊張するステージで、ミスをしてしまうことはあっても、いつもできてないのに、この場で急に出来ることはまずありません。いつもの感じが出てしまうものなのです。なので、日頃コツコツと基礎練習をするのは、地味で根気がいることですが、土台ががしっかりしていないと上には積み上げられないので、まず、きっちりコツコツ練習を続ける!ということをやってみてください。その地味な基本的な練習が、難しい曲を演奏する上で役にたつことになるはずです。聞いていて、安心感にもつながると思います。もう一度コツコツ練習を積み重ね続けてください。きっと本選より更に安定した演奏ができると思います。継続は力なり、皆さん、全国大会頑張ってください。
三浦明美 先生 昭和音楽大学附属音楽教室 講師
さすが、地区本選。安心して聴ける演奏ばかりでした。みなさんそれぞれの楽器のコントロールなどは安定していて、それもお見事です。いくつか、ずっと気になっていた事を書かせていただきますと、まず譜面台の高さが高すぎますね。管楽器は暗譜が必須ではないのですが、本番をむかえる以上、みなさんもうほぼ暗譜されていることでしょう。まるで譜面にかじりついているように見えては、せっかくの演奏もだいなしになってしまいます。それから、はじめのお辞儀は譜面をおくまえにしたほうがいいのではないでしょうか。お辞儀は儀式でもなんでもなく、みなさんの音楽を聴いてくださるお客様への挨拶です。その気持ちが伝わる方が、よりお客様(審査員であっても)はみなさんに寄り添って音楽を楽しみたくなるのではないでしょうか。一回一回の本番は決して二度とない、貴重なものですよね。お客様との出会いも同じです。素晴らしい技術や音楽性をもっているみなさんが今後ともより上達して、お客様から愛される音楽家でいてくださることをこころからお祈りしています。
益田みどり 先生 日本弦楽指導者協会 関東支部理事、ダイナーズカルチャー 講師
出演なさった皆様そしていつもその方々を見守っていらっしゃるご家族の皆様、お疲れ様でした。先週の予選に引き続き今回の本選も大変レベルの高いコンクールでした。皆様のお気持ちを考えますと全員の方を全国大会出場にさせていただきたいとおもいましたが、そうもいかず、発表させて頂きました結果とさせて頂きました。全国大会に出場できなかった方々ごめんなさい。また次回頑張って挑戦なさってください。全国大会出場の方々は益々磨きをかけて頑張ってください。全部門レベル高かったのですが、特に中学生部門のレベルの高さに驚きました。これからが楽しみというか、恐ろしい程の完成度と成熟度に感心いたしました。これからの益々の精進心より期待そして応援致しております。
いつもコンクールで感じる今回も講評に書かせていただきました点に触れてみたいと思います。演奏のみだけでなく舞台に登場なさって袖に入るまでドレス、髪型も含めてご自分なりに演出して頂けるとよろしいかと思いました。モーツァルトならモーツァルトの世界を。ドヴォルザークならドヴォルザークの世界を。その演出で観客を魅了していただけたら嬉しいと思います。日々練習に励み一生懸命頑張っていらっしゃる事、本当に素晴らしいと思います。また皆様の演奏拝聴できますのを楽しみに致しております。